管弦楽部

小川榮太郎だけは、大ヒンシュク。
中二の時にこいつに管弦楽部を辞めさせられちゃって。
「痴漢の権利!」どころの話じゃなくて、
義務はどうでもいいが、あらゆる権利を行使する男だった。

管弦楽部では「ゾンビ」という顧問が指揮振って、
みんないやーな雰囲気だったけど、

みんながゾンビを嫌ってて、
だけどゾンビについてって、
ゾンビが指揮棒を振り下ろすと全国一の音が出る。
なんだろう。

オーケストラを短縮して「オケラ」と呼び、
あの部活では、独特の一体感があって、
ひとつにまとまってる感覚が尋常じゃなかった。
それだけに、オケラ辞めてから
学校生活は針のむしろ。

いまでもトロンボーンのスライドポジションを、
右腕の肘あたりにシクシクと感じる。

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