さださんへ

あ、やっとでてきた。くろーした。
あたしは桂子。女の子。
体は男だけど、年もおじさんだけど。心の中に住んでいる、いつまでも十二歳の女の子。
十二歳で成長が止まって、どうすることもできないの。たすけて。
それはまだ私が神様を信じなかったころってお兄さん。ずっと聴いてた。好きだった。
だけど「関白宣言」ってサイアク。
俺より先にどうするなこうするな。メシはこうしろいつもきれいでいろって、ひたすら「命令し続けていく」の。
どうしてそんなに命令すんのかな……と思えば「俺の愛する女はお前だから」だって。
ばーか。
「好きだから」ただそれだけの理由で、あたしはこんな人間にされていく。
あたしはあたしだ!
あたし、男の子の名前で呼ばれて、男の子のようにふるまわなければならなくて、すっごく苦しかった。
まいにちまいにち、お前はこういう奴だ、だからこういう風にしろ。ご飯を食べなさい、ご飯はおいしいだろ。
どんどん作られて行って、気が付いたらあなたが「吉川博」って男を作り上げていた。
ばーか、ばーか、ばーか!!!!!!
あたしは桂子。十二歳の女の子。「けいこ」って名前、いいなって気に入ってるの。自分でつけたの。やっと出てきたよ。世界中の誰もが、あたしの存在を知らないの。あたしはずっとここでこうしてるの。お願い、助けて。

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