無題

いつに見た夢だか忘れたから、簡潔にまとめようと思う。
おそらく一週間ほど前に見た夢だろうと思う、まだ少し寝苦しく夢の中でもそう、雨が降っていた。

随分と揺れる電車だ、もう少し運転が悪かったらきっとプラットフォームからかなり車体がずれていることだったろう、そう思う。

「揺れるなぁ」
「そうだね、だってこの電車、さっき聞いたんだけど、暑くて線路から車体が浮いているらしいから。」
知らない少女(おそらく夢の中では彼女と私は知り合い、ということだったんだろう。)が私にそう教えてくれた。
なるほど、線路と車体が離れているのか、通りで揺れるわけさ。線路の通りに走れてすらいないのだから。

狐の嫁入りの降る、蒸し暑い日だった。

とりあえず、電車から降りて石積みとコンクリでできたプラットフォームを踏み歩き出すと私は真っ直ぐ砂利の小道へ進んだ。笹の林と駐車場の間にあったので、そこまで田舎という世界でもなかったのだろう。人通りが多い。
そこの道はいくつか枝分かれしており、私と同じように電車から降りた学生やらなんやらがゾロゾロと歩いている。
人の間を縫うように、私が雨に降られつつ走り抜けるとふと赤い羽根が私の頭上に幾つか留まり、雨が当たらなくなった。

「ホークス」

私は僕のヒーローアカデミアのキャラの名前を口にする。それもそう。私が夢の中で呼んだ名前は紛れもなく、ヒロアカの世界の、速すぎる男で、ウィングヒーローのホークスだった。

「よ」

雨が降っていたので、彼の飛来は非常にありがたかった。私は傘を持っておらず、目的地まで雨晒しだったのだ。

そのままホークスと並走し、私が現実世界でもよく通る橋を渡ると、おばあちゃんから「あら、ホークスと一緒だなんて、珍しいわね」と声をかけられた。
「ええ、まあ。」
この会話と私の応答から察するに、私もヒーローだか、ホークスのサイドキックだかで、しばらく仕事を休んでいたのだろうと思う。人の声援などが若干聞こえながらも若干激しくなり、雲ゆきも怪しくなりだす往来を駆け抜けた。
そしておそらく目的地であったであろう、狭い道の、コンクリートの階段を上がる。
木の扉(とても小さく、並の人より小さい私の背丈で通るのがやっとだった。)を開けると、人が出てくるところだったので体をきゅっと狭めて、入れ違う。
バーのような、カフェのような雰囲気のそこで水滴を払うと奥へ進んだ。

夢はここで終わった。正確には、私が目覚めた。
変な夢ばかり見るなあと思いつつ、また面白い夢を見たらここに書き留めようと思う。夢日記を書き留めるのは、あまりよくないとはいうが…。

2023/08/29

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