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大学と企業の連携プロジェクト芝生広場を舞台に考える、全世代が訪れる「新時代の浜松町」

今回の浜松町 Life Magazine では、学生の目線から見る「浜松町」の今とその未来についてお届けします。今年も東京都市大学の坂井研究室(エリアマネジメント)、北見研究室(マーケティング)の学生の皆さんにご協力いただき、浜松町を舞台に産学連携プロジェクトを実施。学生の皆さんと浜松町でまちづくりを推進する世界貿易センタービルディングが連携し、議論を重ねながらまちづくりにおける現状や課題を見つめ、解決策を提案していきます。6月から様々な課題に取り組み、10月5日に中間報告を終えた全4チーム。今回はそれぞれが考えたテーマ、そしてフィールドワークを通して感じた浜松町の魅力や可能性について学生の皆さんにお伺いしました。学生から見た「浜松町」という街の印象、街の未来への期待をたっぷりと伺いましたので、是非お楽しみください。


今年度は現在建て替え中の世界貿易センタービルディングにできるターミナル棟屋上の芝生広場での取り組みやイベント案を検討してもらいました。4つのチームがそれぞれ、「インバウンド」「地域住民」「働く人」のいずれかをターゲットとして選び、提案を行いました。学生の視点から、実際に浜松町に行ってみて感じたことやイメージとのギャップ、若い世代が訪れたくなる街にするには何が必要かを話していただきました。

【Aチーム】
浜松町は「地元愛」の強い街
メンバー:秋山さん、岡崎さん、高橋さん、中村さん、長沼さん(五十音順)
提案内容:地域住民のコミュニケーションを生む飲食店を誘致したイベント企画
 
―フィールドワークを通して感じた浜松町の印象を教えてください。
 
正直に言うと、浜松町にはこれまであまり行ったことがなかったので、ビジネス街というイメージを強くもっていました。ただ、実際に行ってみると意外と歴史のある街だなと感じました。増上寺や東京タワーなど街がつくられていった「時の流れ」を感じることができたのが印象的で、普段はあまり使わないからこそとても新鮮に映りました。
私たちのチームは「地域住民」をターゲットに、発表の準備を進めています。発表に向けて街の方に取材をさせていただいたのですが、皆さん快くインタビューを受けてくださって、大都会というものとのギャップというか、温かみや人情といったものを感じました。地域の方が「地元愛」をしっかり持たれていて、新しく住まわれた方たちも浜松町の歴史を深く知りたい、街に積極的に関わっていきたいという想いがあることも面白いなと感じました。


取材中は主に若い世代から見た浜松町の印象を語っていただきました。

―皆さんのような若い世代は浜松町にどのような印象を持っていますか?
 
羽田空港や丸の内などからもアクセスしやすい、というのは良いところかなと思います。ただ、「浜松町にしかないもの」というのはあまりないかなと感じました。そのため、どうしても浜松町を通過してしまったり、来たとしてもそこから移動してしまう気がします。あとはやはりどうしても「働く人の街」というイメージがあるので、若い人は少し行きづらいと思います。美術館やカフェなど、若い人たちもライトに行ってみたいなと思える場所がほしいです。
また、インタビューをしていて、もう少し住みやすければという意見も聞きました。空き家の活用やスーパーの充実など環境がより整うと、住んでいる人たちもハッピーになるし、「住みやすい街」という良いイメージもつくのかなと思いました。

新規住民の方も街のことを積極的に知ろうとしているのが印象的だったと話してくれました。

―最後に中間報告を終えての成果や課題、最終発表に向けての意気込みをうかがえますか?
 
地域の方にご協力いただき、たくさんお話を伺うことができました。いろいろなお話を聞けた分、まとめるのが難しいので、うまく焦点を絞って、最終発表ができればと思っています。ついつい欲張ってあれもこれもと入れたくなってしまう気持ちは頑張って抑えます(笑)
今は「昔から住んでいる方と新しく住み始めた方の交流」を軸に、発表できればと考えています。発表まであと一か月ほどですが、チームの仲間と協力して、良い提案ができればと思います。

【Bチーム】
知られていない魅力がある「穴場」な街
メンバー:井口さん、石平さん、島崎さん、沼澤さん、宮川さん(五十音順)
提案内容:働く人のコミュニケーションを促進するテナント専用カフェスペース運営企画
 
―フィールドワークを通して感じた浜松町の印象を教えてください。
 
私たちは今回「働く人」をターゲットにして、発表の準備を進めています。大きな商業施設がないこともあり、浜松町にはあまり行ったことがありませんでしたが、訪れてみるとビルも多く「働く人の街」だなと実感しました。羽田空港につながるモノレールも通っているので、スーツを着て、キャリーバッグを持って移動している人を見るとその印象がより強くなりました。ただ少しイメージと違ったのは、思ったより海が近いというところです。都心ということもあり、自然はあまりない場所なのかなと思っていたのでびっくりしましたね。

若い世代ならではの視点で、様々な選択肢を提案していただきました。

―若い世代が浜松町に行きたいと思うためには、なにが必要だと思いますか?
 
オフィス街というイメージを持つ人も多いので、どうしても、硬いというか、かしこまった印象があるのかと感じます。それとは反対のポップな選択肢が増えると、若い人たちも訪れやすくなるかなと思います。女性だとネイルサロンやヨガ教室など、気軽に行ける施設があるとうれしいです。行きたくなる街の特徴として、「選択肢の多さ」というは重要かなと感じますね。あと、やっぱり最近の私たちのような若い世代はSNSでいろいろな情報を知って行く場所や食べたいものを決めるので、SNSからのアプローチを行うことで来る人はかなり増えるような気がします。おすすめに出てきたり、インフルエンサーの方が行っているのを見るだけで行きたくなるんですよね(笑)浜松町はあまり若い人たちが行く場所ではないからこそ「穴場感」があって魅力的に映ります。

それほど行くことのない街だからこそ、興味があるという話もありました。

―最後に中間報告を終えての成果や課題、最終発表に向けての意気込みをうかがえますか?
 
「働く人」をターゲットにしたため、世界貿易センタービルディングで働く人たちがどのように休憩を取られているのかを調査したところ、皆さんあまり外で休憩を取られないということがわかりました。ちょっと意外でしたが、皆さんインドア派だなと感じました。いろいろな理由はあると思いますが、できるだけ外で、例えば広場などに出てみたほうが気分的にもリフレッシュされて良いのかなと考えています。その他にももっと働く人たちが垣根を越えてコミュニケーションできるような場を設けることで、新しいコミュニティも生まれて面白いのかなと感じています。まだ具体的な提案名やロゴは考え中ですが、親しみをもってもらえるようなものにして、将来実現されるような提案ができればと思っています。

【Cチーム】
都会と自然の「バランス」を感じる街
メンバー:荒木さん、井口さん、板垣さん、関口さん、壷井さん(五十音順)
提案内容:マイナースポーツを通じた地域住民交流企画
 
―フィールドワークを通して感じた浜松町の印象を教えてください。
 
これまでなかなか行く機会がなかったのですが、歩いてみると高層ビルがたくさんあって都会っぽいなというところと、芝公園や旧芝離宮恩賜庭園などの緑や自然をバランスよく感じることができる街だなと思いました。私たちは「地域住民」をターゲットに設定してフィールドワークを行いました。そこで、私たちが提案する予定の芝生広場を使ったイベントに出店してくれそうな地域のお店にいくつかインタビューをしました。そのなかでおにぎり屋さんにお話を伺ったのですが、思っていたよりも地域密着型で、オフィスワーカーだけでなく、老若男女様々な方が買いに来られるということがわかり、少しイメージと違ったことも意外でした。その他何件かインタビューをしたお店のなかには、イベントにも積極的に参加されていて、地域住民との関わりもでてきているとおっしゃっている方もいて、想像していた「都会」というイメージよりもずっと、私たちが住んでいるような住宅街と変わらないなと感じて、親近感がわきました。
 

インタビュー中には「将来働いてみたい街」という言葉もありました。

―地域の方のインタビューを通して、浜松町がより魅力的に、より住みやすい街になるためにはなにが必要だと感じましたか?
 
インタビューをしてわかったことは、皆さん健康志向が高く、ジムなどで体を動かされる方が多いということでした。高所得者層も一定数いらっしゃって、健康需要が高いのかなと感じました。そのため、綺麗な機材を揃えたジムを整備するといいのかなと思います。あとはショッピングセンターのように、そこに行けばなんでも揃うというような施設があれば、選択肢も多いので、魅力的ですね。また、交通アクセスの良さのわりに若い人がサクッと足を運べるお店が少ないかなと思ったので、チェーン店などが増えたらいいなと思います。新宿や渋谷などと違って海も近く、緑を感じてリラックスできる場所もあるので、そういう面がもっと伝われば浜松町で働きたい、行きたいと思う人も増えると思います。このほかにも花火大会など季節ごとのイベントもあったらより魅力的で、面白い街になるのかなと思います。

若い世代が感じる「魅力的な街」の話では様々な意見がありました。

―最後に中間報告を終えての成果や課題、最終発表に向けての意気込みをうかがえますか?
 
最終発表では、地域の方が参加しやすいイベントの提案ができればと考えています。将来、世界貿易センタービルディングが建て替わり、実際に広場ができたときに私たちの提案を実現していただけるよう、みんなで頑張って考えていきたいと思います。

【Dチーム】
外国人に知ってもらいたい「アクセスの良い」街
メンバー:下地さん、須貝さん、妹尾さん、髙田さん、山田さん(五十音順)
提案内容:MICEで浜松町に訪れる外国人に向けたイベント企画
 
―フィールドワークを通して感じた浜松町の印象を教えてください。
 
浜松町と羽田空港のアクセスが良いので、外国人観光客にたくさん訪れてもらえるような企画を考えていました。しかし、思ったよりも浜松町に外国人の方が少なく、インタビューにも苦労したので、途中から浜松町周辺で開催されるMICE※に注目し、MICEで訪れる外国人に刺さるようなものを考えることにしました。フィールドワークをして感じたことは一番の売りであるアクセスの良さがあまり伝わっていないのかなというところです。浜松町という街は皆さん認識されてはいるのですが、やはり滞在したり目的をもって来るという感じではないようでした。むしろ「通過点・中継点」として認識されているなと思いました。私たち自身も通過してしまったり、浜松町からどこかに行ってしまったりと、浜松町を目的地として訪れたことはありませんでした。
 
※MICE・・・企業の会議(Meeting)や報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体等が行う会議 (Convention)、展示会・イベント(Exhibition/Event)の頭文字を使った造語で、これらのビジネスイベントの総称。

メンバーそれぞれが、多様な視点から浜松町を語ってくれました。

―「通過点」と認識されている浜松町のイメージを変えるには、どのような施策が効果的だと思いますか?
 
都心なので難しいかもしれませんが、気軽に遊べるような施設や観光名所となるような水族館や遊園地があればいいなとは思います。あとは、若者向けのクリエイティブな企画やスペースがあると興味がわきますね。そこから話題性が生まれれば、「流行をとらえている最先端な街」だと若い世代も感じると思います。例えば広場でポップアップストアを出店して、話題になることで、たくさんの人に「浜松町」に興味をもってもらうことができ、イメージもかなり変わるかなと思います。ただ、そのなかで浜松町の景観は損なわないように、うまく共存しながら新しい施設ができればとも思います。

取材中は、話題性のあるものが増えると行く機会も多くなりそうと盛り上がりました。

―最後に中間報告を終えての成果や課題、最終発表に向けての意気込みをどうぞ。
 
ターゲットは「インバウンド」ですが、なかなか難しく最終発表までにうまくまとめることができるか少し不安です。MICEのイベントスケジュール例を調べ、スケジュールの合間に芝生広場を使ってもらえないかと考えています。いまはチームで芝生広場を使ってもらう理由やストーリーを考えているところです。最終発表まで残り少ないですが、良い提案にできるよう頑張ります。
 
4チームともそれぞれが設定したターゲットや提案内容にあわせ、インタビュー等の調査を行い、最終発表に向けてブラッシュアップを行っています。最終発表では、学生が期待する浜松町の未来がどのように描かれるのでしょうか。皆さんお楽しみに。

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