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【これからの仕事】 山口周氏による「これまでの仕事とこれからの仕事」

この記事は,「わくわくエンジンEXPO」の山口周氏の講演についてまとめました。※全文を公開している「投げ銭」スタイルのnoteです。

キッカケ

キッカケとして,以前Web日記にも書きましたが,「わくわくエンジン」というキーパーソン21取り組みに興味をもちました。

そのキーパーソン21は,今年3月に実施した「わくわくエンジンEXPO」を見ておもしろいなと思い,共有したいと思いました。

1日目のゲストコメンテーターは植松努さんで,植松努さんについては以前に成長マインドセットと絡めて紹介しました。

2日目のゲストコメンテーターの山口周氏については,紹介したことが無かったので,「これからの仕事」ということに着目して記事にしようと思います。

ビジネスの意志決定の転換

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山口周氏は,以上のようなマトリックスの表をもとに,ビジネスの意志決定について説明しています。意志決定とはざっくり言うと,ものやサービスを生み出す特に判断材料とする考え方という感じです。

縦軸は決定基準として何をもって「良い」とされるのかということで,「真」「善」「美」の3つを挙げています。横軸は,それを判断する性格(感覚)として,「理性」と「感性」というものがあると述べています。

これまでの意志決定は「理性」を重視していました。
真(誤り)なることに関しては,データや事実をもとに判断する。
善い(悪い)なることに関しては,慣例や法律などから判断する。
美しい(醜い)ことには,市場調査などから統計的に売れるとされるものを考える。

この3点を前提としてきました。
例として山口氏は携帯電話について話しています。2007年には,携帯電話といえばパナソニックなどの日本の大手大企業が大きなシェアを取っていました。

その携帯電話がどのように作られていたかというと,
市場調査をしてお客様が欲しいと思うものを分析し,それをもとに説明可能な機能を盛り込むことを考えてきました。その結果どれも同じようなものとなってしまい,値段以外に差が付かなくなってしまいました。(これをコモディティ化と言ったりします。)

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その結果,4兆円市場となる日本の携帯電話市場はご存じの通りiPhoneに席巻されてしまいました。(2020年シェアは約6割だそうです)

その要因の一つとしてApple社は,「理性」による意志決定では無く「理性と感性」による意志決定をしているということです。

例えば美に関しては,市場調査から明らかになったことでは無く,我が社ではこれが美しいと思ったから作ったなどという,主観的な評価に基づいてものを作っているということです。

ここから見える教育課題(優秀とは)

ここから見える教育課題として,客観的な評価が可能なものだけを育てる教育を転換する必要があります。

これに対して山口氏は「優秀」ということばについて述べています。

日本では優秀な人というのは,ある問題に対して早く・正確に答えを出せる人のことを優秀と言います。これは圧倒的に左側(理性)の能力ですよね。テキスト(文章)やデータを上手に情報処理ができる能力です。

逆に,直観力が優れている人や感性が豊かな人を優秀とは言いませんね。「すげぇいいやつ」だとか「なんかずげぇやつ」などと言ったりします。

今は左側が優秀とされていて,皆さんも左側の能力を身につけないといけないと思っていますが,気をつけないといけないことは,この能力を身につけることが価値とはならないかもしれない。

先生や我々大人の考えている優秀さは,10年後20年後には優秀では無いかもしれない。このことは一度立ち止まって考えなくてはいけません。というのは,データを分析しそのデータから分かること(答え)を導き出すというものはAIに取って代わるからです。

受験というものは,左側の能力を測るものです。これは,クイズ(ある問題に答える能力)やパズル(論理的に組み立てて導く能力)を解く能力であるとも言えます。しかし,クイズやパズル(将棋やオセロ)などはもう既にトッププロよりもAIの方が優れていると言われています。

受験が能力を測る指標として無くなることは無いと思いますが,ではこの受験で良い成績を取ること,テストで良い点を取ることが果たして教育のあるべき姿なのでしょうか。ここは明らかに違いますよね。

このことから,理性的な能力だけで無く,感性を養うことが必要となってくると言うことです。これはとても難しいですね。客観的な評価をすることが難しく,何が良いとされるのかも曖昧です。これには量的な評価ではなく,質的な評価(一人ひとりの行動を分析し,行動変容を評価する)が必要となってきます。これについては,うまくまとまったら別の機会に紹介します。

昭和的価値観の変化

5つの価値観「正解」「モノ」「便利」「データ」「説得」については,どんどん価値がなくなってくると言われています。これについては,実際に動画を見るのが一番です。(書くのが億劫なのでは無く,よくまとまっているため。)

50:30〜

人間がやる仕事とは

問題を解決する能力はAIに取って変わられるということでしたが,では,人間がやる仕事とは何かということで,山口氏は以下の2つを挙げています。

1.問題を作る
2.意味を作る

下の図を見てください。

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これまでは,世の中にある不便なことを解決していくことが価値とされてきましたが,これからは世の中には何が問題かということを生み出すこと,その潜在的な問題を解決することに価値が置かれます。この例としてイケアの取り組みについて紹介しています。

(54:32〜)

隠された問題を見つけるためには?

ではこれからの価値とされている「問題をつくること」「意味をつくること」の着想の出発点はどこかというと,自分の感情が動くときと言っています。

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これはとても納得です。仕事をする上で,自分が嬉しいと感じること,楽しいことを世の中に増やしていき,自分がムカついていること,哀しいことを減らしていく。それが仕事へとつながるということです。

私も,哀しいこととして「勉強しなさいと言われなすがままに勉強し,就職し,自分が何をしたいのかも分からないまま,ただただ生きている」ということを減らしたいと思っており,「やりたいこと,もっと知りたいことがあるのに,そんなことはムダだから勉強しなさいと抑え付けられる」ことにムカついているから,教育に携わっていると思いますし,「自分の努力したことが成長となって現れ」る喜びを味わう生徒を増やしたいっていう気持ちから塾をやっているんだと思います。

この枠組みは,自分の生きがい・仕事を考える上でとても役立つモノだと思います。

まとめ

以上が「わくわくエンジンEXPO」2日目の山口周氏の講演を自分なりにまとめたものです。これからの価値観の変化について,とてもシンプルに述べていると感じました。是非一度ご覧になってみてください。

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2021年3月から長泉町にある個別指導の学習塾「濱塾」を経営している高濱と申します。教育に関する情報を発信していきます。