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スケッチについて


スケッチは楽しいけど、自分はあまりやるべきでない。

という考えに取り憑かれて何年か経つんで、いったん言葉にして、自分の考えをまとめる作業。

イラストレーターとして「イラスト」という商品を眺めると、その機能は大きく分けて以下の2つと思ってる。

① good atmosphere/良い雰囲気を提供する
② わかりにくいことを、わかりやすく伝える


①について。仮に「空」という本の表紙に、良い雰囲気の空の絵が必要とする。イラストレーター(もしくは目指してる人)の多くがいる場所がここ。人が多く渋滞してて「どんな絵が良いか」正直誰もわからない。乱暴に言えば、どんな絵もデザイン次第で「正解」で、ディレクションによっては壁に絵の具を投げた絵が正解、もある。ビジネス視点で考えるとバクチ。そんな場所に一度きりの人生を賭けられない。他の人が目指すのはOKだけど自分は向いてない。

ので、②。①は忘れ「わかりにくいを、わかりやすく伝える」を戦場にする。小説の表紙的エモーショナルな仕事は来にくいけど、模式図的に描いたり、キャッチーなキャラクター立たせたり、色々な手法で「わかりやすく」届くものを作る。これは意外とパズル的で、自分みたいなロジカル人間には向いている。

①の「良い雰囲気」は写真とも競合するし、どういう絵が「良い」か判断する際「主観」の%が高いけど、②は「どのくらいの速度で伝わる?」という軸があるので、良し悪し判断に基準が持てる。

もちろん②が「良い雰囲気」無しでOK、じゃ無いけど、あくまで「理解させる>良い雰囲気」「アイデアが伝わる>良い雰囲気」であって、逆はない。

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話戻って、スケッチ。

目の前のものを素描するスケッチは①の「良い雰囲気」の探求作業に近い。もちろん ②のボトムになるので、やらないよりやるべきだけど、やりすぎると段々マインドが絵の「良い雰囲気」のことだけ考え始めてしまう。①の「アーティスト」方向に近づいていく。造形を崩し始める。基本その方がカッコ良いし。純粋に「表現」を楽しみ始めてしまう。

それに絵筆で紙に描く行為は、フィジカル的な、没入&頭空っぽ気持ちイイ〜作用があるので、ついどんどん描いてしまう。プロで何年もやってればそれなりの絵が描けるし、SNSでいいね、も沢山付くかもしれない。

…危ない危ない。戦場はそこじゃ無い、と思いパタリとやめる。仕事の絵とアイデア出し以外、絵は描かないように注意する。な時期が来るんだけど、すると今度は、仕事の絵が硬い感じになっていく。仕事の絵が「仕事の絵」っぽくなりすぎていく。難しい。。

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感覚的には、②わかりにくいことを、わかりやすく伝える

で生きていくイラストレーターは「アイデア:7 / 絵の力:3」くらいが良いバランスと思ってる。絵の構成はアイデアが一番伝わりやすいものを、その時々で選ぶ。絵はあくまで内容を運ぶコンテナ。作戦的には間違ってない!…ハズ…と思いつつ、揺らぐ2019年。

数年、10年後の自分はどう思ってんのかな…


ありがとうございます、近所の文房具屋さんに全投入!