夜の帳に夢を馳せて

プロの芸人にはなれなかった。
事務所に所属ができなかった。

正直、事務所なんてどこでもいいし、芸人を続けようと思えば続けることはできた。
でも続けなかった。

突出した才能があれば、事務所に所属できる。
よって所属できないのは、自分に才能がないからだ。
と自分に言い聞かせた。

昔からそう。
泥臭く食らいつくと言うことを極度に嫌う。
自分に才能がないと決めつけて壁を作る。
まるで自分がどこまでやれるかを冷静に見極めることができるとでも言うかのように。
ただの逃避行動なのに。
人生であと何度、自分のこういうところに辟易するのだろう。

周りの人間にも、自分は満足したんだという顔をする。
ずっとイキってる。
でも、1人で散歩していると、自然と漫才を考えるし、夜は考えが走り回って全く寝られない。
就活は手につかない。

そんな僕でもたくさんの人におもしろいと言ってもらえた。
素直にありがたかった。
そういう言葉が無ければもっと早くに辞めていたと思う。

これからは応援する側に回る。
勝手に自分の夢を託して。

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眠れない夜に

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