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宮城県石巻市の牡鹿半島に位置する蛤浜。私はここで夫と暮らしながら「浜の暮らしのはまぐり堂」というカフェを営んでいる。 蛤浜は住民わずか3世帯7人の小さな集落だ。住民構成は70代前後のご夫婦が2組、その下に夫を含めた40代が2人、そして30代半ばの私である。蛤浜を含むこの牡鹿半島部の浜々は3.11で大きな被害を受けた地域でもあり、震災後の人口流出は著しく、近隣の浜々でも高齢化は進む一方だ。 だが美しい海と山とに囲まれたこの浜に生きる人々と関わりを深める中で、私は「果
前回#9のお話:若者をはるかにしのぐ体力と、疲れ知らずの体の使い方を身につけている浜の大先輩たち。「年だからもう動けねぇなぁ」と言いながら、30代の私などとは比べ物にならないほどよく動き、手早く浜の仕事をこなして元気に笑う...そんなスーパーマンのような浜の先輩たちに憧れて、ひよっこの私は、遥か遠いその背中を追いかけています。 そんな浜の先輩たちから、私がもう一つ受け取ったもの。それは、自分で工夫して、自分の暮らしを作っていく、暮らしを手作りする力です。 「昔はそ