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遠い山嶺の雪

教室のまどぎわの席で数学の授業はわかりきっていたので耳で聞きながら外をながめていた。
とおくの山の雪の積もった頂きは黒と白のまだらで、そこに小さな横細い雲がかかっており、そこから小さな雪がきらきらとふっていた。
空は白くくもり、グラウンドも雪でおおわれている。
とおく山上のところだけ雪がふわふわとふるようなのが目をこらすとやっとみえるのであった。
教室のなかは暖房であつく授業は遅々としてすすまなかった。

かえり道はしんしんと雪がふっていた。
風がないのでそれほど寒くはない。
両手をぽけっとにつっこんで、あしもとを見ながらあるいた。
犬が足毛にゆきだまを作りながらはしりまわっていた。
しろい道の先にころがったゴミ袋にカラスがざっとまいおりてつついた。

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