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奨学金を借りてまで大学に行くべきなのか

まず、大前提として、大学に通うお金は安くはないという事実です。国公立大学に自宅から通うとしても、授業料と入学金だけで4年間で約250万円かかります。社会人になってから、この金額を貯めるのは毎月4万円貯金しても5年以上かかります。大学に行かないで250万円を投資に回せば5年間で300万円に増やすのはそんなに難しいことではありません。その間、働いて得られるお金も投資に回せば20代で500万円の資産を作ることは難しいことではありません。20代で500万円の資産を持っている人は上位20%です。
私立大学に通うとなると授業料と入学金で約600万円。一人暮らしで仕送りをもらうと国公立で総額約700万円、私立で総額約1000万円かかります。

全ての親がこれだけの金額を子供のために準備できるわけではないので、奨学金という借金制度があります。海外であれば返済義務のない奨学金もありますが、日本の場合は返済義務があり、有利子の場合もあります。学生時代に借りた200万円の借金を社会人になってから返済するのに10年以上かかります。そのため、返済が完了するまでは結婚しない、借金があるから海外旅行に行けないなど、若者の未来を奪う制度でもあります。

では、奨学金を借りてまで大学に行くべきかどうか、いくつかのパターンに分けて考えてみます。

1.大学を卒業しないと取得できない資格があり、卒業後にその職業に就くという意思がある
→ 例えば、医師、弁護士、教員などは大学卒業後に試験を受けて専門職に就く前提で生徒を募集しているので、この場合は大学に行く価値はあります。ただし、本当にその職業に就きたいという信念が必要です。

2.将来、研究者になりたい
→本来、大学に進学する人の将来は研究者や教育者になることです。そのための基礎学問を4年間かけて学ぶのが大学で、そのあと修士課程2年、博士課程3年を経て、研究者のポストが空いていれば大学で研究者となれます。しかし、人口が増えていた時はよかったのですが、少子化で生徒が減っているため教える側の大学のポストはすでに削減され埋まり、将来も空く可能性はありません。修士課程の後に企業の研究職を目指すのが比較的広い門です。理系であれば機械系、化学系、生物系、建築系、情報系などあります。文系でも経済を分析する人材など企業で研究者として収入を得る道はあります。

3.スポーツがしたい
→その大学でやりたい運動部に入るという目標があれば進学する価値はあります。もちろんその後もスポーツで生計を立てるという計算が必要になります。大学に行って運動部に所属していれば、何処かの企業が見つけてくれるだろうという期待はしない方がいいです。スポーツの最前線でスポーツ以外の分野からも幅広くマネジメントなどの理論を自分のものにした人が就職に有利になります。最後は大学名もある程度就職先を左右します。

ここまで挙げた進学動機があれば奨学金を借りてでも大学に行く価値はあります。では、動機がない場合はどうするか、みんなが行くから自分も行きたい、高卒よりも大卒の方が給料が良さそうだから大学に行きたい、働きたくないからとりあえず行けそうな大学に行きたい、など18歳で自分の進路を決められない人が大半です。自分もなんとなく大学に行って運良く就職できました。
知っておいてほしいのは、日本の大卒就職率94%の裏には、中退している人が10%以上いるという事実です、私の周囲だと30%以上留年していました。学ぶ動機がないと講義を聴いていても身につきませんし、そんな授業に毎月5万円(私立なら10万円)支払う価値があるかは一度は考えた方がいいです。
市場価値からいくと、ただ単位を取るだけのために行くなら大学の授業料は高過ぎます。ただし、この教員に指導を受けたいという人が見つかって、学びたいという動機があれば指導を受ける授業料は格安です。

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