【声色ききみみずきん】#22 マツコ・デラックスさんの声は、空虚と溢れるほどの優しさを併せ持つ
テレビで観ない日はないほどの超売れっ子。マツコ・デラックスさん。
1972年生まれの、46歳。(2019年現在)
公表されているマツコさんのスリーサイズは、バスト180、ウエスト180、ヒップ180!! 体重140キロ!!
本当なのか。
声は、男声としてはやや高め。
なかなか繊細な音声の方だと思う。もしかしたら、女性性を打ち出すために、声も少し高めに出すように意識されているのかもしれない。
ただ首の周辺に、相当な量のお肉が付いている。特に、頬・アゴ、首のあたりなどは、かなりの重量を感じる。このお肉の影響で、口や舌の動きが制限され、口の中の空間も狭くなる。深い呼吸がしづらくなっているのかもしれない。
滑舌に少し難を感じることや、声がこもったように聴こえるのは、この体格の影響だ。
ところでマツコさんは、力士に間違えられたことがあるそうだが、力士の身体と違うところは、筋肉量だろうか。しなやかで、柔軟な筋肉を持っている力士の中には、美声の持ち主もいるのだ。マツコさんも、もう少し筋肉がしまれば、声の雰囲気が変わるはず。
などと思っていたら、ここ最近の映像は、少しお痩せになってきている。首回りが以前よりもスッキリして、声の輪郭がハッキリしてきた。迫力のある、押し出しの強い声だが、柔らかくてマツコさんのキャラクターにとてもマッチした声だと思う。
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マツコさんが大人気なのは、歯に衣着せぬ物言いと、的確に場を感じて表現する力。感受性が強く頭の回転が速く、表現力が豊かでないとできることではない。
しかも、体格も声も、不思議な愛嬌が醸し出されている。キャラクターとしても、秀逸なんだと思う。だから、今のテレビ界で、とても愛される存在になれたのだ。
マツコさんは、かつて2年間ほど、実家に引きこもって生活していたことがある。一度、壊れてしまったらしい。私たちには、壊れないと観えてこない世界がある。きっと、マツコさんは、それを観たのだ。
性的マイノリティとしての苦しみを嫌というほど味わい、もがき、人間が生きるということの光も影も、じっと見すえて来られたのだと思う。どん底を知っている人たちが共通に持っている、ある種の「空虚」な感じが、マツコさんにも感じられる。
けれど、有吉弘行さんの「空虚」さには、乾いた感じもあるのだけれど、マツコさんの「空虚」さは、乾いていない。「空虚」だけれど、「温かい」。
それが、どこから来るものかは分からない。その温かさは、言葉を変えるとするなら、「慈愛」のようなものかもしれない。一種の、「母性」と言ってもいいのかも。性を超越した観音様みたいだ。ほめ過ぎか?
哀しみを充分に知っている人の、あきらめと、優しさ。男性も女性も併せ持つマツコさんだからこそ、醸し出せるものがある。
益々のご活躍を楽しみにしていよう。
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