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【声色ききみみずきん】#14 お笑い芸人さんたちの声-ぐるナイ体験記~その1

2011年10月に、日本テレビの「ぐるナイ」に出演した。なぜ私に白羽の矢が立ったのかはわからないけれど、テーマは「おけいこ男子」。独身の芸人さんたちが、モテる男になるために、ダンスや書道、料理などの、お稽古ごとに挑戦するという企画だった。

私は、その中のボイストレーニングを担当。司会進行は、ナインティナインの矢部さんと奈々緒さん。
おけいこ男子は、ナイナイ岡村さん、バナナマン日村さん、ドランクドラゴン塚地さん、キャイーン天野さん、サバンナ高橋さんの5名だった。

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スタジオに入って驚いたのは、芸人さんたちの、声の大きさ。凄まじい勢いで、前へ前へと声を出す。横に立っていて、耳が痛くなるほどの大音声を聴いたのは、この時が初めてだった。

それに、大声なのは、芸人さんたちだけではない。カメラの後ろには、40人~50人のスタッフ。芸人さん達が面白いことをすると、彼らは全員で笑う。声を上げて大声で爆笑するのだ。すると、芸人さんたちのノリが良くなって、もっともっと面白いことをする。

というわけで、スタジオの中は、人間の声と熱気がグワングワンと渦巻いていた。一緒にいったボイストレーニングに通ってくれている生徒さんのYちゃんは、「頭が痛い…」とギブアップ。ビックリしたのだと思う。通常の生活の中にはあり得ない、圧倒的なエネルギーの場だったから。

◆◆◆

この音声の凄さは、テレビを観ているだけでは分からない。テレビのモニターやスピーカーでは、このエネルギーは再生できないから。同じ空間を共有して、お互いの声を身体全体で聴き取り、初めて気付くこともあるのだし。

著名人の方の声を聴いて分析する場合、直接お会いしたことのない人の声を聴き取るので、その点はかなりハンディがある。だから、スピーカーからでも受け取れるように、私のアンテナは全開になる。ご本人がお話をしている映像を観て、口の形や姿勢、呼吸や息づかいをじっくりと観る。

その場合、テレビよりも、その人のパーソナリティが受け取りやすい媒体はラジオだと気付いた。ラジオは、カメラがない分、個人的な場になりやすく、その人の「素」の部分も出やすくなるのかもしれない。

さらに、ひとりで話しているよりも、親しい関係の人と会話をしている時の音声の方が、なお分かりやすい。隠しても隠しきれない「素」が出るから。私は、仕事で作り上げられた声よりも、そんなポロっと出てしまう「素」の声に魅力を感じる。人間臭い、その人の本質を知りたいと思う。

それにしても、たった6人の芸人さんでも、スタジオが割れんばかりの声の迫力。これが、ひな壇にたくさんの芸人さんが座って一気にしゃべるバラエティだと、どんな状況になるのだろう。芸人さんたちも、生き残りを賭けて声を発している。

想像を絶するなぁ…

~つづく~

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