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【声色ききみみずきん】#15 お笑い芸人さんたちの声-ぐるナイ体験記~その2

私が収録当日、ご一緒していて一番声が魅力的だと感じたのは、ドランクドラゴンの塚地さんだった。

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俳優の仕事も多い塚地さんは、人間的な優しさに溢れた声で穏やか。その上、とっても感性が鋭くて、私がお伝えしたことの深い部分を一瞬でキャッチして素直に反応してくださり、素人である私を尊重して下さる感じもして、とても嬉しかった。今でも私、塚地さんの大ファンなのだ。

放送はされなかったけれど、誰の声が一番好きかを奈々緒さんが選んだのだけれど、やはり彼女も、「塚地さんの声が良い」とのことだった。きっと塚地さんは、誠実で女性受けが良いというか、実際はモテるタイプの方だと思う。本当に優しいもの。

そして、「この人!モテるだろうな~!」と実感したのは、司会進行の矢部さん。側にいると、私の背骨に、矢部さんの声がビンビン共鳴して届く。骨導音の非常に豊かな人で、声を聴いているだけで、とても心地良い。もう生理的に気持ちいい。
それに、全体をまとめながら進行をする立ち位置のために、視野の広さと許容量、つまり器の広さも感じられた。一緒にいたくなる人。安心できる人。
でも、ドライな冷たさも併せ持っている人。こういう人は、女性にはモテる。断言する。

天野さんは、ナレーターや声優としてもご活躍なので、ご自分の声の資質に強烈な自信を持っている方とお見受けした。

日村さんは、やんちゃな雰囲気で、硬質で高めの声は、耳をつんざくような威力です。ですが、持って生まれたエンターティメント性が豊かで、ある種の天才。無垢な反応とセンスは、圧倒的だと感じた。
(実は私、バナナマンファンでもある。収録中に日村さんから『ねぇねぇ、まみぃずぅ。』と呼びかけられたことが、最高に嬉しかった!生涯の宝)。

高橋さんは、鼻にかかった甘えん坊の声なのだけれど、実は、かなり神経質で硬質な方のような気がする。胸のあたりの緊張が強くて、その日は、呼吸が苦しそうに感じられた。体調が、いまひとつの状態だったのかもしれない。

岡村さんも、優しくて繊細で、天才肌の声。身体全体を楽器のようにして出す声は低くてハスキーだけれど、人を元気にさせる。けれど、当日はお疲れのようで、声を振り絞って出している印象があった。

◆◆◆

放送は10分ほど。でも実際は、1回5分程休憩を入れて小一時間ほど撮影を続けた。全編、ほぼアドリブ。

本番前、緊張する私に、「大丈夫ですよ。どんな状況になっても、タレントさんたちが面白くしてくれますから」と、スタッフの方が助言してたけれど、実際、その通りだった。
テンションを上げ、周囲の空気を全身で感じ、ボケて突っ込んでというコミュニケーションの応酬。凄まじい、プロの真剣勝負の現場だった。

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本番終了後、タレントさんたちの控えの場では、もう全員グッタリ。口を開く元気もない様子で、全員、どんよりと暗く、タバコを吸いながら、うつむいて携帯をいじっていた。その落差に、またビックリ。
帰宅する際、ご挨拶に伺うと、皆さん「お疲れ様でした」と挨拶は返して下さったのだけれど、ささやくような声で、心ここにあらず。エネルギーチャージが早急に必要な様子だった。

そんな中、矢部さんだけが、ちゃんと立ち上がり、私を見て、丁寧に「ありがとうございました。お世話になりました」と頭を下げてくださった。

これは、疲労度の違い?
いやそれは、あの現場では、矢部さんがタレント側のリーダー的な存在で、全員を統括していらしたのかもしれない。番組や出演者全員を代表してご挨拶をして下さった、という印象だった。撮影はその後、さまざまなお稽古事の体験を収録するために、翌日の明け方まで続いたそう。

並みの精神力・体力では、続けられない。芸能界で売れるというのは、そういうことなのだと思う。

芸人さんたちの凄みを真似することはできないけれど、コミュニケーションの姿勢を学ぶことはできる。相手を観て・聴いて・感じて、とにかく勇気を持って、全身全霊で反応する。笑われることは恥ずかしいと閉じるより、むしろ、笑って!と自らを開いてアプローチする。

出来るか? 私。
よし! チャレンジしてみよう。

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