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「Your Call's Very Important to Us. Please Hold.」 ~Sparksの詞を訳す②~

2回目です。
始めて早々、訳しやすそうな曲ばっか選んでることに気づいてしまいましたが、ほんとにこれ英語力はもちろん、英語圏文化力、とでもいうものが必要で、それがつまり英語力の内訳のひとつなわけで、
どの曲でもお手上げです。
それにもまして、単純に詩の感受性がない。という説。


さて、前回書き忘れた大事な記事。スパークスの有識者 岸野雄一さんによる歌詞解説!

さらに、スパークスの基本事項解説、紹介。


ガイドブックも2006年に出ているんですねー。品切れ。





Your Call's Very Important to Us. Please Hold. (大切なお電話ありがとうございます。そのままお待ち下さい)


アルバム『Lil' Beethoven』(2002年)の7曲目。

実に労力削減で選んだ感のある繰り返しの歌詞ですが、それだって難しいんですよ(!)。まずもって恋人との電話かと思ってましたが、これが文化知らずってやつ。
このフレーズは、企業の問い合わせ窓口でかかる自動音声の定型句、だそうです。あるあるなんですね。


しかしそのあるあるフレーズに、この曲調がくっつくと・・・。



MV はないので動画

公式。


非公式。2004年のライブ映像。
ロン兄さんがずっと小芝居(振付け?)をしています。理解に役立つ。



訳してみた


引用元 
 ※実際の歌を聴いて、一部修正しています


そのままお待ちください そのままお待ちください
そのままお待ちください そのままお待ちください
そのままお待ちください そのままお待ちください

信号が混ざってる 混ざった信号
混ざってる 混ざってる 混ざってる信号が

まず彼女は言った 「大切なお電話をありがとうございます」
そしてこう言った 「そのまま、そのままお待ちください」
それから言った  「大切なお電話をありがとうございます」
そしてこう言った 「そのまま、そのままお待ちください」
まず彼女は言った 「大切なお電話をありがとうございます」
そしてこう言った 「そのまま、そのままお待ちください」
それから言った  「大切なお電話をありがとうございます」
そしてこう言った 「そのまま、そのままお待ちください」
まず彼女は言った 「大切なお電話をありがとうございます」
そしてこう言った 「そのまま、そのままお待ちください」
それから言った  「大切なお電話をありがとうございます」
そしてこう言った 「そのまま、そのままお待ちください」
まず彼女は言った 「大切なお電話をありがとうございます」
そしてこう言った 「そのまま、そのままお待ちください」
それから言った  「大切なお電話をありがとうございます」
そしてこう言った 「そのまま、そのままお待ちください」
最初に彼女は 大切なお電話をありがとう と言った
そして そのままお待ちください と言った
最初に彼女は 大切なお電話をありがとう と言った
そして そのまま、そのままでお待ちください と言った

緑の 緑の信号(わかりました) 赤信号
緑の 緑の信号(わかりました) 赤信号
緑の 緑の信号(わかりました) 赤信号
緑の 緑の信号(わかりました) 赤信号

まず彼女は言った 「大切なお電話をありがとうございます」
そしてこう言った 「そのまま、そのままお待ちください」
それから言った  「大切なお電話をありがとうございます」
そしてこう言った 「そのまま、そのままお待ちください」

緑の 緑の信号 赤信号(「大切なお電話ありがとうございます」)
緑の 緑の信号 赤信号(「そのまま、そのままお待ちください」)
緑の 緑の信号 赤信号(「大切なお電話ありがとうございます」)
緑の 緑の信号 赤信号(「そのまま、そのままお待ちください」)

まず彼女は言った 「大切なお電話をありがとうございます」
そしてこう言った 「そのまま、そのままお待ちください」
それから言った  「大切なお電話をありがとうございます」
そしてこう言った 「そのまま、そのままお待ちください」

最初に彼女は 大切なお電話をありがとう と言った
そして そのままお待ちください と言った
最初に彼女は 大切なお電話をありがとう と言った
そして彼女は言った そのまま、そのままでお待ちください

最初に彼女は言った 言った 言った
そして彼女は言った 言った 「そのままお待ちください」
最初に彼女は言った 言った 言った
そして彼女は言った 言った 「そのままお待ちください」

緑の 緑の信号 赤信号
緑の 緑の信号 赤信号
緑の 緑の信号 赤信号
緑の 緑の信号 赤信号

信号が混ざってる 混ざった信号(お客様、少々お待ちください)
混ざってる 混ざってる 混ざってる信号
混ざってる 混ざってる 混ざってる信号
混ざってる 混ざってる 混ざってる信号

信号が混ざってる 混ざった信号(保留に戻します 保留に戻します)
混ざってる 混ざってる 混ざってる信号(保留に戻します 保留に戻します)
混ざってる 混ざってる 混ざってる信号(保留に戻します 保留に戻します)
混ざってる 混ざってる 混ざってる信号(保留に戻します 保留に戻します)

緑 緑の信号 赤信号(もしもし?)
緑 緑の信号 赤信号(もしもし?)
緑 緑の信号 赤信号(もしもし?)
緑 緑の信号 赤信号(もしもし?)

まず彼女は言った 「大切なお電話をありがとうございます」
そしてこう言った 「そのまま、そのままお待ちください」
それから言った  「大切なお電話をありがとうございます」
(もしもし?)
あなたの電話はとても大切なんです
だから そのまま待って




わからへん


1)定型文としてどう訳すか

会社の電話での自動音声システムで、Your call is very important to us. という英文がどうしてもうまく日本語に訳せません。
どなたか自然な言い回しをご存知の方がいらっしゃいましたらご教示下さい。

Translator's Cafe

こちらのサイト、まさしくの質問です。寄せられた回答では、

 ・私どもにとってお客さまの声は非常に大切なものです
 ・私どもはお客さまの声を非常に大切な(貴重な)ものであると
  考えています/捉えております
 ・あなた(お客様)からのこのお電話は私共にとって非常に貴重な
  ものです
 ・私どもはお客様のご意見を大切にさせて頂いております

とのこと。いい!
自分の訳では”大切なものを貰っちゃってありがとう”というふうな意味になってしまい、あなたの電話は私たちにとって大切でかけがえのないものです、というニュアンスが薄くなってる。わかってるなら別訳にしろってことですが・・・。

「そのまま、そのままお待ちください」としたのは「Please hold. Please hold.」。繰り返しを入れ込んだわけですが、これも「そのまま切らずにお待ちください」としたほうが、電話の宙吊り感が強まっていいのではないか。



2)恋愛相手としての

定型文と両立させなきゃ、と難しいのが、この曲、最後まで延々繰り返しを聞くと「ちょっと待ってて」と言われたきりフラれた男、というようなニュアンスがぐんぐん出てくる。大切なの、と言われ、でも戻ってこない。赤信号、緑信号、どっちなんだ?!
その小事件が曲調もあいまって感情移入というか、一人の人間にとってはこんなに悲劇なのだ、というふうにも聞こえてくる。
ただの自動音声あるあるで始まったのに。
その時に「お客様」と言っちゃってると、齟齬をきたす感じがありますね。
原詞の言い方は平易で、企業のオペレーターのへりくだりとしても、知り合いの女性としても通用する感じがある。あるのか? いやわからない。


3)混ざった信号?

これは「mixed signals」です。なんのことでしょう。
上に書きましたが、口ぶりとほったらかしの矛盾、GOなのかSTOPなのかどっちなんだ、ということか。
あるいはたんに保留音の事なのか?


4)緑の信号 赤信号?

ライブ映像では歩行者用信号の緑と赤が出てきていましたが。もとからその意味なんだろうか。GOサインとSTOPサイン。


5)保留に戻します??
「Sir, I'm going to have to put you back on hold」、これがわからない。
youをputしてon holdにbackさせる、ってことで、「少々お待ちください」からの「保留に戻します」としましたが、こういう構文を、ちゃんと調べないと。
あと、このSirは、お客様にしてしまいました。

6)定型文シリーズとして

今後も登場しますが、スパークスの「定型文(慣用句)の脱臼(換骨奪胎)シリーズ」というような曲がけっこうあるので、その流れとしての側面も、考慮できるといいな。



以上です。

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