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デザインとしての「直盛り」「セパレート」 雑記20/12/13(日)


これは何度もひとに言ったし、また書いた気もするけれど、なんど言っても自分と同じくらいに

「うわぁー!そいつぁすごいね感動だぁ。泣いちゃうね俺ぁ・・・いやぁ、いやぁ~智慧だね!人類の英知だよォォォ」

と感動してくれるひとがぜんぜんいないのでまだ書くけれど、
松屋の牛丼を持ち帰るさいの盛りつけの呼び名について、もう一回感動しておきたいですね。

それは

直盛り(じかもり)

セパレート である。

・・・これ、すばらしいデザインだと、思いませんか?


先に、念のため説明すると。
「直盛り」とは、具をご飯にかけた、普通に店で出される牛丼と同じ形態での持ち帰り。
「セパレート」は、ご飯容器の上にプラスチック皿をかぶせ、そこに具を盛り、持って帰る時間でご飯が汁びたしになってしまうのを防ぐ方式だ。

で、名称である。
これがすばらしいのである。

まずね。うっかりするとこれ、「直盛り」「セパ盛り」って名づけちゃいそうじゃありませんか? 

もっというと、マクドナルドが「エグチ」「チキチ」「マクポ」などとノタマッテいた流れにのってしまうと

「セパ盛り~!」

などと、汁がしみない気の利き方とともに、喧伝しかねない危うさがある。


しかし 「直盛り」 と 「セパレート」 なのである。


・・・話は少し逸れるけれど、わたしは以前、歌舞伎町でアルバイトをしていた。

そこで昼飯を買いに出かける松屋には、おそらく韓国、中国、インド? ベトナム? みたいな、多国籍アルバイトが多く働いており、べつに券売機で注文間違いもないし、でも、発音がたどたどしいと全体の理解力に不安を持ってしまう不思議。
(あと近くのセブンイレブンは完全にインド人しかいなかった。リトルインディア)

そんなわけで、多く日本語を母語としないアルバイトを受け入れるにあたっては、本部も気ぃ使いなさいよ、ということに・・・


なったのかは知らないが、「直盛り」「セパレート」なわけである。


これ、母音に直すと「いあおい」と「えあええお」で、種類も、長さも、違う。特に、はじまりの音と終わりの音が全然違う。
これはクッキリとした音の違いをもたらす。

つまり・・・(前置き長かったなー)
「直盛り」と「セパレート」という名称には、
その2つしか言わせない、という選択肢には、
【聞きまちがいを防ぐ】【機能】が備わっている。

そういう、デザインだということだ。

加えて、「漢字+ひらがな」と「カタカナのみ」という見た目の違いも、はっきりとデザイン。
(これは「ドラクエ」や「桃鉄」の開発話で聞きかじったことだけど、あのカーソルは文字数、漢字・かな、などで見た目にハッキリ違いを出しているんだとか。理解を速くしてゲームを快適にプレイするためのもの)


これによって、実際に各店舗でのやり取りが円滑になったのか、多国籍アルバイトにやさしくなったのか、それ以前に日本語話者だって理解力は不安なのでそのへんにはどうか、グッドデザイン賞は受賞したのか、「セパ盛り」派は抗争に敗れて太平洋に流され、父島で寿司屋「刺身と酢めし」を開いたとか何とか、
そんなことは何も知らない。
もしかしたら、完全にデザインとして失敗、なのかもしれないし。それはデザインを実地に検証していないから実のところわからない。けれどともかく。


直盛り と セパレート


わたしは震えましたね。

その震えが三日三晩とまらなかった。
「やっぱりマラリアか何かで?」


柳家小さん師匠「千早ふる」の一節が出ましたので

おわり。

みなさんもデザインにお気をつけて。



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