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『外カリッと、中ジューシー』

「最近の食べ物の評判ってこればっかりじゃない?」
という話をラジオで聴いていた。

「この逆ってないよね〜」「といいますと?」「外ジューシーで、中カリッと、なもの」
確かに。聴いてたときは、かっぱ巻とかどうやろ?と考えていたけど、いまここで書いていて、アスパラベーコンを思いつく。

この、外カリ中フワ、とかジューシーとかの食べ物は、その言葉のとおり、食感のギャップ萌えが好評のひみつだろう。

一見かたそうな人だけど、こんなやさしい一面を持っているなんて。
一見入りづらい店だけど、入ってみるとこんなに面白いなんて。
一見ふつうのクルマだけど、乗ってみるとこんなに楽しいなんて。

ギャップ萌えというのは、人をみるときをはじめ、どんなものに対しても存在する。期待以上のことが起こったとき、人々はエキサイトする。

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さて、お客さんが飲食店をえらぶとき、見た目がえらぶ理由の8割、9割を占めるといわれる。

その見た目の好みはもちろん人により分かれるが、店側からしてみると、店主の趣味をどれくらい内外装を通じてアピールできるかで、興味を持ってくれるお客さんを選ぶことができる、といえるだろう。
逆に、あまり来てほしくないお客さんには入りづらいような設えにする、とも言うことができる。

見た目ももちろんのこと、ビルの奥まったところや細い路地の奥に店を構える、営業日をきわめて限定する、など、「知る人ぞ知る」的要素を高めることも一因になる。(逆効果になることもある)

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お店だけでなく、個人が自身の身の回りをどう振舞うかによって、その人が関わる人間も変わってくる、ということがあるかもしれない。

例えば、口では「音楽が好き」という人でも、Spotifyでだけ聴いているのと、レコードを買い集めてプレーヤーで聴いているのとでは、後者のほうに俄然興味がわく。(私の場合)

また、「フィルム写真をやっている」という人でも、写ルンですで撮ってますという人と、たくさんのカメラやレンズを集めていて自家現像までしています、という人とでは、後者に興味が湧くし、話の通じる仲間がたくさんできそうな気がする。

ネットを通じて身の回りをなんでもあっけらかんにされる(してしまっている)いまの時代、投稿した写真や、誰をフォローし誰にフォローされているかや、で、その人となりというのが判断され、ひいては人間関係に影響してくるのではないか。


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実はいま、以前よりまったく写真を撮らなくなってしまったのだけど、
そんな間にも彼女がこつこつ写真を投稿し、新しい人間関係をつくっているのを見ると、私ももっとセルフプロデュースを頑張らんなんな―、と雑に考えるときがある。

反面、自身の努力や活動をあまり明らかにせず、それでいて会ってみるとすごく深い話をしてくれる方もおり、そういったギャップ萌えを私も身に着けたいな、と憧れるところもある。

人のことが見えすぎるのって、とても刺激になって励みになることもあれば、とてもしんどくなってSNSそのものを見れなくなることもある。(10月くらいに1か月ほどそういう感じになった)

「いまの迷いのある自分を認めること」。奈良で照明を製作販売するすてきなお店の店主と話していて、言われた言葉。
彼自身にもそんな時期があったからこそ、そう言葉にできるのだろう。
迷いがあってもいいんだ。と自分を理解させることで、すこしは楽になる。

外カリっと中ジューシー、になれるように、おちついて、地に足をつけていく。


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