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東大×生成AIシンポジウム 第1部「生成AIが切り拓く未来」

先日2023年7月4日に開催された、東大×生成AIシンポジウム 第1部のパネルディスカッション「生成AIが切り拓く未来と日本の展望」が面白かったので、個人的に興味をひいた論点を抜き出して要約してみました。

1時間弱ですが、とても興味深い議論もありましたので、お時間があるかたはぜひリンク先をご確認ください。

https://www.t.u-tokyo.ac.jp/ev2023-07-04

テーマ1: 生成AIで世界はどう変わるのか

  • 水晶玉に未来を聞くかようなAGIの世界が10年前後で来る可能性がある。AGIがリアルタイムでトレーニングされる時代の到来して、AGIが人間よりも的確に答えられるようになれば、産業界といわず利活用できない分野のほうが少ないのではないか。(孫正義氏)

  • 強いものがより強くなる、ネットワーク効果が生成AIにも存在すると思う。中央集権的で超強大なトレーニングセンターと、分散化されたインファレンスセンター、エッジチップによるデータ収集の世界観を考えている(孫正義氏)

  • AIによる物流などの社会インフラの効率利用が可能になった社会では、人間の自由時間が拡大するため、ベーシックインカムなどの制度設計が必要になってくる(西村経産大臣)

テーマ2: 生成AIの発展を支えるインフラ整備の必要性

  • 生成AIの開発には計算能力、データ、パラメータの3つが重要。日本の計算能力はまだ遅れており整備が必要である。NvidiaのGPUと伍するエネルギー効率の良いGPUの開発を進める(西村経産大臣)

  • データの強化も必要であり、特に言語モデルやロボティクスのデータを含めて強化していきたい。パラメータの数は大きい方が精度が上がるが、少ないパラメータでも工夫しながら特定の領域に特化した企業向けに開発することも考えられる。(西村経産大臣)

  • 国際レベルのAIコミュニティに参加し、トップの研究者やエンジニアとのネットワークを構築することが重要。日本の政府の役割も大きく、海外のトップ人材とのつなぎ役となることが求められる。日本は魅力的な国なので、優秀な人材を海外に取られる心配は少ないと思っている。自信をもってほしい(シェイン・グウ氏)

テーマ3: 生成AIのリスクへの対応

  • AI戦略会議での論点整理のポイントは3つ(松尾豊氏)

    • リスクや懸念に対応すること(個人情報・機密情報・学習データの取り扱いの明確化)

    • 積極的な利活用を進めること

    • 計算資源とデータへの投資の拡充

  • リスクに応じて、AIの進化に応じてルールも決めていかねばならないが、ハルシネーションの問題もあるのでAIの進化によって人間の必要性が完全に無くなることはないと思っている(西村経産大臣) 

  • AIの進化を不安に思いすぎる必要はない。人間が今まで解決できなかった難病や自然災害などの課題を解決できる可能性など、AIの進化をポジティブに受け止めている(孫正義氏)

  • AI開発の取り組み関して、日本がやりがちな特定分野に特化した枝葉の研究は短期的にはメリットもあるかもしれないが、ど真ん中の「光り輝く水晶玉」を取りにかなければいけない。日本は小さな問題に囚われずに真正面からAI開発に取り組んでいくべきだ。(孫正義氏)

感想とか

  • 孫さんの最高性能のモデルは「光り輝く水晶玉」だ!という表現が印象に残った、興味深いパネルディスカッションでした。ほんの1年前には生成AIと言っても一部の動きだったものが、岸田首相から祝辞があったり急に大げさになってきたものです。

  • 孫さんの、トップとらなきゃ意味ねーんだよという趣旨の、割と直球な自民党の方針への苦言に対して、主導権を取り返そうとしたのか、パネリストの中で若干ピントがずれてる浅い感じの発言に終始していた西村経産大臣が、さいごの最後で弁護士のモデレーターからマイクを奪って、セッションのまとめをしたのが、さすが政治家だなぁと思いました(いい意味で)。😓😇


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