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「WHO'S NEXT?」で2位になった話。(1)

 はじめまして、はまーんです。初noteです。

 この度CGWORLDさんの学生限定投稿コーナー「WHO'S NEXT?」2位を頂きました!!!めっちゃ嬉しい...

 ということで審査員の方に頂いた講評等を踏まえて軽く制作過程の振り返りを書き留めておこうと思います。全体的に個人的な所感ですが、制作で参考にした本なども紹介しておりますので少しでもお役に立てれば幸いです。

(なお、この記事は2回くらいに分けます。長くなってしまいましたがぜひお付き合いくださいませ...)

「WHO'S NEXT?」

 恐らくこの記事をご覧になってる方にはお馴染みかと思われますが、全国の3DCGを制作している学生さんが「3DCGを用いた静止画作品」というテーマで自由に参加できるコンテストです。年に2回開催されており、プロのクリエイターの方々の講評を読んで勉強になる一方で、毎回お祭り感あって楽しみにしてます...

 個人的に周りにそこまでCGやってるひとが多くないので、こんなにたくさんCGやってる同年代のひとがいるんだなあとしみじみとしています。

 そんな中へ今回は勇気を出して初めて応募してみました!正直他の作品のクオリティに自分が圧倒されてしまっていたのでまさか2位に入れるとは思いませんでした...個人的に7位の方の『大鯉』がめっちゃ刺さって思わずああって声が出ました。

 主催して頂いたCGWORLDさん、講評して下さった審査員の方々、ありがとうございました。そして応募された皆さんお疲れさまでした。

「脱け殻の街」

 さて、早速Breakdown的なやつを始めたいと思います。今回私が応募した作品がこれです。

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タイトル『脱け殻の街』

 コンセプトとしては長い梅雨が明けてがやってくるような爽やかさ暑さ迫りくる何かを表現したいなと思いました。目指すところはアニメ映画のワンシーンが浮かびそうなくらいストーリー性が感じられるような雰囲気を作ることでした。

 講評では考察までして頂いて非常に嬉しかったです!一方でアセット1つ1つのクオリティの粗さが目立ってしまったようで、そこは猛省です...

Blender [C__Users_nonam_Desktop_作業_japanLand.blend] 2020_09_01 8_25_19

Blender [C__Users_nonam_Desktop_作業_japanLand.blend] 2020_09_01 8_31_38

 角度を変えてみると↑こんな感じです。ちなみになんとなく煙や泥や鳥とかは透過素材を実際のシーンに置いて作ってみたのですが意外と馴染んでていい感じでした。(でも後で加工することを考えると結局後で合成してもよかったかもしれない...)

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 もうお分かりだとは思いますが今回メインで使用した3DCGソフトはBlenderです。バージョンは2.83で、Cyclesのビューポート表示とレンダリングでのOptix AIデノイザーのおかげでこんなに詰め込んだのにレンダリングが5分も掛からずにできて非常に助かりました...AIバンザイ。

 ちょっと話が逸れますがこの頃Blender勢いあっていいですね~開発側がガンガン機能を追加していってるのもそうなのですが、クリエイター側も、特に学生さんはもう当たり前のように使ってて、負けられない!!!とモチベになってます。あとあんまし触ってませんが今後はUE4も挑戦したいですね...(Megascansも使ってみたい!!!)

グループ 6.psb @ 25.9% (レイヤー 10, RGB_8) 2020_09_01 8_53_41

 Blenderで空以外を作り、後にPhotoshopで合成してレタッチもしました。レンズフレア等もこの段階で加えています。(ところで夏らしさってどうやったら出るのでしょうか?今のでも十分夏らしいのかもしれませんが、未だにどの要素が夏っぽくてそうなってるのかわかりません...カラーグレーディング等詳しい方に教えてほしい!)

 一通りのBreakdown的なやつは以上ですが、細かい部分(テクスチャとか)などはまた後ほど制作過程を追いながら振り返ります。

制作開始!!!(締め切り1週間前)

 ところで、全然褒められた話ではないのですが今回の作品は制作に1週間も掛けられませんでした。

 WHO'S NEXT締め切り(7/31)の1週間ほど前、梅雨がまだ続いていてじめじめとした感じが続いていた頃、オンライン講義の合間に遅めの朝ごはんを買いに行こうと玄関を出ると足元にがいました。

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 マンションの6階なのですが、よくやってきたな...と。そして私は蝉が苦手なのですが、全く動かない様子を見るともうすぐ死んじゃうのかなあと思い、なんとなく写真を撮りました。現にパンとコーヒーを買って帰ってきたときにはひっくり返っていました。ただ夏本番を迎える前に息絶える彼が少し哀れに思えて、少し街を見下ろしながら佇んでいるといろいろ沸き立つものがあって、これを作品にしたいなと思い制作を始めました。

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 これが一番初めにラフな感じで作ったものです。とにかく簡単なプリミティブや既存のアセットを並べてそれっぽい構図にしようと調整しました。大体この構図が決まってよし本格的に作ろう!ってなった時点で残り5日間とかでしたね...(危機感)

 ちなみにこの後いろいろまた構図も調整していくのですが、その際参考にした本がこちらです。

 この本めちゃいいです。何がいいかというととりあえず今から独学で学ぼうとされている方におすすめで、絵のどういうポイントをどんな物差しで分析していけばいいかがいろいろ書かれてます。自分は恥ずかしながらこの本に載っていることのほとんどを知らないまま大学に来てしまったので、早く読んどけばなあと後悔してます...ただ、この本は分かりにくい表現で書かれてることが多いので、この本で新しい概念を得た後に、それぞれの要素を詳しく解説している本やネット記事を集めて勉強するといいのかなあと思います。

脱け殻メカ完成!!!(7/29深夜)

 さて、それから構図に沿っていろいろ足していくわけですが、ここら辺で期末テスト&課題制作&レポートに見舞われます。当然他の参加者の方も大体似たような感じだと思いますが、この辺が学生限定コンテストの醍醐味なのかもしれませんね...()

 そんな中ついにメインの被写体である夏の亡霊、脱け殻メカのモデリングが完成します。そのモデルがこちらです。

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 ...よく見ると?ですね。足のところとかはPS無印時代を彷彿とさせる出来ですが、この辺はカメラから見えないので妥協しました...

 このモデルの制作にあたってはKitBashモデリングをしました~元々Sci-Fiチックなのが好きだったので拾ったり買ったりしてたのが功を奏しました。

 ただKitBashで作るにしてもいろいろ試行錯誤しました...下手に組み合わせるとなんか微妙になりがちなので、これも本の知識を借りました。

 一応Maya向けに書かれてますが、Mayaの方もなんとなく知ってるのでそこまで躓きませんでした。また、ジャンルが違いますが今回の背景の制作にも結構役立ってます。めちゃ参考になりました。

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 なんとなくシーンに設置して軽く加工してました。結構早い段階からこういう手順で加工しようという算段を立ててはいたのですが、1番はうおーなんかいい感じになってる!モチベを保つためにやってました。

(ちなみに前述の本で「人体と比べてスケール感を整える」というのがあったのですが、意識してたはずなのにこの時点で自販機と女性がほぼ同じくらいの背丈になってます...反省ですね。)

 なーんかうまくいきそう!とモチベーションが上がっていますが、この時点で7/29に日付が変わっていました。(ここからよく間に合ったなあ...)

建物の制作(7/29朝 ~ 7/30)

 あまり記憶にないのですが、恐らくモチベが上がって勢い付いたのかなあと思います。深夜はオードリーのラジオをタイムフリーで聴いたりしながら制作するのが好きなのできっとこのときもそうだったんだと思います。

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 7/29の朝時点での状況です。建物が結構いい感じに出来てきました!ちょくちょく気分転換に外に出て写真を撮ってたのでリファレンスやテクスチャに使ってました。結構早く仕上がったなあと個人的にも思うのですが、過去に作ったものの流用や複雑なものは拾ったり購入したりしてます。加えてIan Hubertさん的なモデリングもしてるのですが、この辺の手早くそれっぽく作る手法は一長一短だと思うので用途を考えてやった方がいいなと感じました。(現にモデリングの粗さは最も指摘された部分でもあります...)

 ただ、言い訳じみた言い方をすればとにかくそれっぽさを手っ取り早く!!!という目的は果たせたと思います...映像を作ったりする上では重宝するのでIan Hubertさんのチュートリアルはおすすめです!

(長くなってしまったので背景に使ったモデル等の説明は次回に繰り越します。)

 ちなみにこの制作時にはほぼ自宅の周りをリファレンスにしている状態だったのですが、先日ふと見つけてあーこれ見とけばよかったなあと思った資料がありましたので紹介します。

 シリーズで何冊かあるのですが、どれも参考になりそうでした。今後の制作で利用したいなと考えてます。

 ちなみに脱け殻メカに破壊されている高架線路は自分の家から見えるのを参考にしました...(距離感が大体同じくらいなので)

次回、怒涛のラストスパート

​ 意外と書き出してみると長いですね...なるはやで書き進めていきたいところです!

 次回は手早くいろいろ配置するためのモデリングやそのメリット等についても触れていきたいです。テクスチャの雰囲気を出したりやストーリー性を伝えるために拘った点や作品に込めた想いまで伝えられればと思います。

 最後にちょっと遊び心を入れたテクスチャを紹介します。

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 画面左下の看板です。シケイダシェル(Cicada shell)、つまり蝉の脱け殻って意味なのですが、友人に聞いてみたら意外と気づいてなかったので...拘りは理解されなくてもきちんと映るものだとは思いたいものですね。

 ここまで読んで頂いてありがとうございました。それでは。


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