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『センスは知識からはじまる』レビュー

こんにちは!hamaです。
今回は『センスは知識からはじまる』を読んでみました。この本は、変化の激しい時代において、新しい領域に進出するために必要なセンスを身につけるための知識の土台作りについて書かれています。

『センス』とは?


「私なんで、服のセンスがない…」
「絵を描くのは好きだけど、正直センスがないと思う。」

デザインやファッションショー、芸術の世界ではこんな話がよく聞きますね。

「センス」は生まれつきの才能や能力と結びつけられることが多いですが、著者はこれを否定し、「センス」は特別な人だけが持っている「才能」でも「生まれつきのもの」でもないと言います。それは誰にでも備わっている能力だというのです。

センスとは数値化できない事象を最適化することである。

「センスのよさ」とは、数値化できない事象の良し悪しを判断し、最適化する能力である。

P16~P18より

著者はセンスを「数値化できない事象の良し悪しを判断し、最適化する能力」と定義しています。例えば、ファッションにおいて、おしゃれさやかっこよさは数値化できませんが、ファッションのセンスとは自分の個性や相手、場面に合わせて最適化する力です。この能力こそがセンスなのです。

技術から『センスの時代』への揺り戻し

『センス』はなぜ大切なのでしょうか?それは、技術で差がつかない場合、センスが人々を差別化する要因となるからです。

人間というのは技術がその時点の限界まで進歩すると、ノスタルジックな思いに身を寄せ、美しいものをまとめる傾向がある。

P45より

昔から技術がある一定の到達点に達すると、人々は「美意識」に関心を持つようになります。例えば「ルネッサンス」や産業革命以後の「アート・アンド・クラフツ運動」など、技術から「センス」への揺り戻しが定期的に起き、時代を変えていきます。

例えば、携帯電話の発展を見てみましょう。携帯電話が小型化し、通信品質が向上して技術がピークに達したとき、消費者はより深い「インサイト」に基づくものを求めるようになりました。まさにこのタイミングで、センスを感じさせる「iPhone」のような製品が登場し、時代を象徴する存在となったのです。

多くの日本企業では、つくり手にも経営側にも「クリエイティブなセンス」がもっと必要ということではないでしょうか。

日本企業を弱体化させたのは、市場調査を中心としたマーケティング依存ではないでしょうか
調査だけに頼んっていると、自分は何がいいと思い、何が作りたいのか、自分の頭で考えなくなります。
「調査結果で決めた」となると、責任の所在が曖昧になります。

P56〜P61

特に今の「センスの時代」では、日本の企業や商品が少ない理由の重要な一つは、従来のマーケティング重視の商品開発による影響が大きいと言えます。従来は市場調査やデータを基にした商品開発が主流でしたが、消費者が自分で見たこともない、聞いたことも触ったこともないものを良いと判断できないから、「iPhone」のような革新的な商品成功は単にデータだけではなく、洞察やセンスによってもたらされました。

『センス』は知識から始まる

「センス」とは知識の集積です。

過去の存在していたあらゆうるのものを知識として蓄えておくことが、新たも売れるものを生み出すには必要不可欠です。
イノベーションは、 知識と知識の掛け合わせである。

P79〜P81より

まず、「誰もが見たことがある当たり前のもの」の知識を集めることから始めるべきです。イノベーションはゼロベースで何かを作ることではありません。例えば「iPhone」のような革新的な商品も、過去の延長線上にあった「ありそうでなかったもの」です。

「センス」の敵は主観です。「知識」という「客観的」な情報の集積を妨げるものとして、「主観」はできるだけ排除することが重要です。思い込みを捨てて「客観的」な情報を集める必要があります。

知識の増やし方

「センス」とは知識の集積だから、知識の増やし方を3段階のアプローチで説明しています。特に新しい領域に進出する時には、参考になると思います。

  • 王道から解いていく

王道とは、定番となるものを指します。つまり、長期間にわたって人気があり続ける商品やアイデアのことです。一度王道を見つけると、それを基準にして、より高品質なものや手軽なものなど、幅広い知識を得ることがしやすくになります。

  • 今、流行しているものを知る

流行しているものの多くは一時的に人気があり、王道とは真逆のものです。ですから、王道と流行の両方を知っておくことで、知識の幅を一気に広げることができます。

  • 「共通項」や「一定のルール」がないか考える

王道と流行に共通している部分を自分なりに"分析・解釈する"ことで、知識をさらに深めることができます。


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