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キャラ設定表を作るのはやめよう

 これは自分に言ってるんですが、物語を書き始める前に、メモ帳にキャラクターの出自や見た目、個性や隠された設定などを考えてメモすると思います。やってる人は多いでしょう、特にファンタジーでは。

 これ、やりすぎるとストーリーが面白くなくなりますね。物語中で説明しきれない設定ばかりが増えて、設定を説明するためのストーリー構成をやりはじめたり、本末転倒になりがちです。
 主人公がどんなやつか、ヒロインはどんな人か、それは「登場人物の誰かが聞きたくなった時」に語るべきです。聞かれもしないのに、語りたくて語るのはカッコ悪いですね。ついつい主人公のキャラを立てようとして説明がわざとらしくなりがちですが、
「今の魔法はなんだ!」
「よくぞ聞いてくれました、これは俺が暗黒界で修行した時に寿命と引き換えに会得した……」
「あ、長くなるならいいです」
 とか、こういうのはカッコ悪い。
 読者が読んでいて、これなんだろうっと思ったタイミングで、登場人物の誰かが質問すれば、主人公も説明せざるを得ません。

 そして、人というのは、自分のことになると「聞かれるまでちゃんと考えたことがない」のが普通なのです。
 あなたがアイスクリームが好きだとして、どうして?と聞かれたら答えられますか? 聞かれる前に話したいほど好きですか?
 アイスは好きだけど、アイスならなんでもいいわけじゃなくて、ある駅に用事で行った時に食べる、駅前のお店のやつが好きなんだ。あの店には座って食べるコーナーがあって、店長が新作を嬉しそうに説明してくれて……
 と、こういったこだわりはキャラクターとストーリーと設定が一体になってます。キャラが生き生きしてきます。
 こういう話は聞かれるまで意識してないものです。旅行は好きですか? 嫌い? どうして? やっぱり聞かれるまで言語で考えたりしないことが多いでしょう。
 だから物語のためにあらかじめ準備してメモに書いておくと、嘘っぽくなります。むしろぼんやり考えておいて、執筆中に誰か他のキャラから聞かれた時に、はじめて考えてみる。これが自然だと思います。
 あらかじめ設定を書いておくと、この順序がくるいやすい。それならいっそ、行き当たりばったりに考えた方がマシです。
 自分が書くときに気をつけようという話ですが、もしかしたら読んだ人の中にもお仲間がいるかもしれませんね!

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