R5製図試験の北側アプローチ論争について

はじめに

このノートを見る方はR5年の試験問題を一通り読まれたかと思いますが、みなさんは北側アプローチについて有りだと思ったでしょうか?無しだと思ったでしょうか?
ここでは僕の試験中の思考と解釈を記載したいと思います。

結果として標準解答例では2例とも北側の公園からも出入りができる(と解釈できる)図面となっていましたが、発表前までは「北側アプローチはランク3もしくはランク4の可能性大」という見解が主流でした。
僕は後述する理由から「北側アプローチは有り」と判断したわけですが、それをXに投稿したところ、(自称)大手資格学校講師の方からDMでご丁寧に「不合格」と伝えられました。
(結果として合格していましたが、自信はあっても発表までめちゃくちゃ落ち込みました…)

なぜプロ講師ですら「無し」だと思ったにも関わらず、標準解答例は「有り」のみだったのでしょうか?
採点基準に全く関係ないことを示したければ、有り無しそれぞれ1例ずつ作るかと思います。
それなのに2例とも「有り」にしたということは減点の大小はあれど、少なからず採点に影響した可能性があるのではないでしょうか?

北アプ論争の原因

そもそも北側アプローチ論争が生まれた原因はざっくり言うと、「所有者・管理者が別の公園から出入りしてはいけない」という見解と「東側駐車場からの歩車分離を考えると北側から出入りするべき」という相反する見解が真っ向から対立したためです。
この部分だけを切り取ると「歩車分離を他人の敷地に入ってまで解決するのは…」と考えるのが普通です。
しかし問題文はこの一文以外にもたくさんあるので、これだけを読んで判断するのはやや早計に思います。

条件の整理

管理者や出入りに関わる情報は以下のものがありました。
・「敷地に隣接する公園及び公共駐車場の所有者及び管理者は、敷地及び図書館の所有者及び管理者と異なる。」
・東側駐車場と敷地の間は植栽で埋められている
・南側道路には歩道がない
・公園と敷地の間には隅以外に植栽がない
・「施設利用者用及び職員の駐車場は、敷地東側にある公共駐車場を利用する。」
こうして並べてみると、管理者が異なるというフワッとしたワード以外で北側アプローチのネックになりそうなものは無く、むしろ北側アプローチを取るべきとも読めてきます。

各条件に対する解釈

所有者・管理者が異なるという一文は確かに出入りをさせない方が良いと取るには十分すぎるワードに思えます。僕もこの一文のみであれば北にアプローチは設けなかったと思います。
しかし東側駐車場を利用するという記述から、「今回は管理者が違っても使っていいんだ」と解釈しました。
そして駐車場そのものを利用して良いならば、当然駐車場にある公園出入口も利用して良いと判断しました。

「いやいや車を停めることだけは許可したけど、公園との出入口利用は許可してないよね?公園出入口使うなら別途協議して。」
現実には無くはないかもしれませんが、これはさすがに意地悪すぎる気がします。
問題文を素直に読むならば、「駐車場利用OK=駐車場内の施設は利用OK」と考えるのが自然ではないでしょうか?

そうすると次は、問題の駐車場内公園出入口を使うか否かという視点になります。

ここで「東側駐車場と敷地の間は植栽で埋められている」「南側道路には歩道がない」「公園と敷地の間には隅以外に植栽がない」という敷地図から読み取れる情報を整理します。
管理者から利用OKと言われていても隣地の植栽を切り開く等、現状を変更するのはさすがにNGかと思われます。
そうすると、駐車場利用者は北側公園を通るか、もしくは南道路を通るかの2択になります。

南パターンでは、駐車場の車の入口を通り、歩道のない道路を経由して、(メイン道路側に配本車スペースがあることは考えづらいので)配本車駐車動線を横切って図書館に入ることになります。
どれか一つならまだしも、東駐車場から見れば3重苦のような条件のアプローチをわざわざ選ぶ必要はなく、消去法で北アプローチにするのが自然のように思います。

それでも北アプは間違っている

北側アプローチは管理者別という文字だけを見れば最悪手です。
しかし、ここに試験元の意図があったのではないかなと思います。
「管理者別と見たらアプローチを設けるな」
「隣地が公園の場合は要求がなければアプローチを設けるな」
資格学校でこのように習ったからと思考停止するのは設計ではない、というのが今回の一つのテーマだったのではないでしょうか?

それでも北側アプローチは間違っているというのならば、それなりに安全性に配慮した解答を示さなければならなかったのだと思います。

最後に

もちろん北側アプローチが無いというだけで不合格になることはなかった、というかそもそも「アプローチの位置で減点」というのはなかったと思います。
標準解答例②は安パイと思われた西にアプローチがなく、まさかの南北アプローチでした。
これは僕たち受験生を嘲笑っているのではなく、建物出入口がどこにあるかなんてどうでも良くて安全性等の設計意図が読み取れるかどうかが重要なんだ。ということなのではないでしょうか?

冒頭で、減点の大小はあれど少なからず採点に影響した可能性があるのでは?と書きましたが、個人的にはアプローチの位置により生じた何かが減点項目に引掛かったのだと思います。
不安全な動線やムダに長い動線等、アプローチにより生じた項目によって減点されているのだとしたら、同じ面でのアプローチでもプランの違いで合否が決まる(減点項目や減点数が異なる)ことに納得がいきましたが皆さんはいかがでしょうか?

一受験生の合っているかどうかも分からない解釈に最後まで目を通していただき、ありがとうございました。


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