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シクラメンと喫煙所

( ´ー`)y-~~

妹から着信があった。

親父の遺品整理に行きたいけれど、気が狂ったようにヒステリックな再婚相手が住んでいるマンションへ行かなければならない。お兄ちゃんどうしたらいいかな?っていう、放置主義の僕にとってはかなり内容のキツイ話だった。

結果、なんとかそのマンションを空けてくれるように連絡をとって、僕も同行する事にした。

やもすると暴走しがちな妹を何とか諌めて、電話を切った。

こういう時は、やれやれと一服したくなる。そばにいたお袋に「ちょっと散歩がてら買い物してくるよ」と言いおいて、喫煙所のある近所のホームセンターへ走った。お袋には、タバコだな...とバレバレなんだけれど、まぁ許してくれ。

この間から、ガーデンシクラメンの真っ白い花をキレイだな買ってしまおうかな?と思いつつ、多肉塊根植物ばかり育てている僕はたぶんあまり水をやらないでダメにしてしまうだろうと危惧。挙句、お袋のお花畑エリア(うちはちょっとベランダが広い)でお袋がせっせと世話しなきゃならない先が見えるから買わないで売り場を眺めるだけにしている。

で、そのホームセンターの喫煙所で僕は一服していた。一服どころじゃないね。もともとチェーンスモーカーだから10服くらいはしたね。持参のルイボスティーを飲みながら。

お袋より少し若いかな?といった風情の高齢女性が、トコトコと僕がいる喫煙所へ歩いてきた。「あれまぁ、こんなに遠いところに(喫煙所が)移動しちゃったのね。オニイサンが吸ってなかったらわからなかったわ」とニコニコしてバッグから煙草を取り出して火をつけた。「ごめんなさいね、話しかけちゃって」

「いえいえ、どうぞどうぞ」と僕は場所を空けた。「以前はあっちの駐輪場に椅子と灰皿があって、座って吸えたんですよね(ニッコリ)」「そうそう!私めったにこのホームセンターへ来ないから、喫煙所がなくなっちゃったのかとガッカリして帰ろうと思っていたのよ。そうしたら背の高いオニイサンが吸っているのが向こうから見えてね、ココがわかったの。アナタのお陰よ〜♪」「笑」という感じで、穏やかだけれど少し会話がはずんだ。

こういうのを『タバコミュニケーション』だと僕は心の中で思っている。煙草を吸う場所がなくて肩身が狭い僕らスモーカーは、ちょっぴり心のどこかに仲間意識があるような気がするのだ。

「うちは、母と同居しているんで家の中で吸えないんですよ。臭うし部屋が汚れるし、体に悪いから絶煙しろとも言われていて。せめて外に出た時だけ喫煙所探してこうして吸ってるんです(苦笑)」「オニイサンは、やさしいのね」「いやぁ、そんな事ないッスよ。じゃあ煙草やめろって話だし」「あら、ちゃんとお母様のこと気遣っていろいろ我慢して外で吸ってるんだから、やっぱり優しい人だと私は思いますよ。それは褒めていいことよ。自分で自分を褒めなきゃ!^^」

そんな他愛もない雑談を見知らぬおばあさんとしていたら、なんだかちょっと気分が明るくなった。

「ああ、ホッとした。オニイサンありがとうね。(煙草)ごちそうさま♪」

そういってそのちょっと品のいい感じの高齢女性は手を振って去っていった。

僕はバナナとキュウリと朝食用のパンを買いに、ホームセンターの近くにあるスーパーへ行き、少し遠回りをして煙臭くなった頭髪を風にさらして、銀行へ寄って帰宅した。

今日は久々にお袋が自分で夕飯のキャベツスープを作ってくれている。

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