ものぐさが高じて、って言わないで
遂に、人間をダメにする環境を作ってしまった。
これまでは、仕事は仕事部屋でと決めていた。いや、仕事に限らず、ベッドにノートPCを持ち込んだらゆるさないからね(意訳)と家族には言われていた。
いかにもやりそうだとはじめから思われていたものだから、ノートPCを買った時にしっかり釘をさされた。
しかし聞いてくれ皆よ、これは決してダラ思考からじゃあないのだ。
仕事が立ち行かないのだ。
この一年ほど、訳あって(としておこう)、起き上がることそのもののハードルがかなり高くなってしまった。
程々に体を起こしつつ、ほどほどに疲れない姿勢を保ち、ほどほどに休める。
家族の理解を得て、そんな形を実現することができました。
ベッドから仕事部屋は最も遠い。
しかも、仕事部屋は防音室なので、本来、音楽以外の用途に使いたくない感じはあった。
あるとき、ノートPCを使ってやるライターや校正や編集の仕事をリビングに持ってきたら、とても捗った。一度防音室から分離させたら、もう戻したくなくなってしまった。
あれは、音楽以外の仕事をするために誂えた部屋じゃない。
リビングは、ちょうど、仕事部屋とベッドを結ぶラインの真ん中にあたる。
校正の仕事は家族も勤めている会社から請け負っているので、夜にリビングで顔突き合せて仕事をすることも増えてきた。
これは思いのほか楽しい。
校正は地味なくせに神経を使う作業なので、一人で何時間もやりつづけるのはなかなか大変なのだ。
そんな時、向かい合わせで仕事をしていれば、飽きたらちょっとお茶を入れたり、あるいは不意打ちで笑わせにかかったり。
乗り切る方策もちょっとは出てくるというもの。
問題は昼間なのである。
昼間、家族は会社に行き、私は自宅で仕事をする。
コロナとは関係なく、もう一年以上リモートワークをしている。
起きるのもだるいような中で、椅子に座って仕事をしていると、元気な時よりずっと姿勢が悪くなるらしい。すぐ、首や腕が悲鳴をあげてくるのが常だった。
今回、導入したのは大きな背もたれクッションと小さな作業台。これを設置することで、移動することなく仕事ができるようになったのと、もうひとつ。
椅子にデスクで仕事をしていたどの環境よりも、疲れない姿勢が保てる!
なんなら、横になっているよりも楽に感じることさえある。
ずっと横になっているしかない体調の時があるのだけど、ずっと頭を体とほぼ同じ高さにしているせいか、最近妙な頭痛がするようになってしまった。
そうすると、起きているのはだるい、でも横になると頭が痛い……という日がちらほら出てくるようになり、仕事や日常に支障をきたすことが増えた。
にんげんだもの、ときどき体を起こしたい。
これも、背もたれクッションを導入しようと決めた大きな理由の一つ。
もっと言えば、背もたれクッションありきでついでに台もつけたというのが実際のところだった。
折りたたみ式のベッド上用デスクは当然毎日たたんで片付けるので、基本的に散らからない。
数時間連続すると首や手首がやられるような作業も、おどろくほど楽ちんだ。
PC作業だけでなく、万年筆と紙での書き物も捗る。
……これを「QOLが上がった」と言ってしまってよいのかは悩ましいところである。
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