[学部生のための]司法試験方法論5-勉強法編②#インプット

こんにちは。はるかです。
勉強法編総論において,司法試験において求められている3つの能力を挙げましたが,今回は実際に知識をインプットしていく方法論を提案していきます。

目次

1.知識の扱い方あれこれ

2.問題集は最強のインプット教材である

3.基本書を読んでも,
基本書が読めるようにしかならない

4.学部講義を聴講しても問題は解けない

5.予備校インプット講義は初学者のためにしかない

6.おわりに


1.知識の扱い方あれこれ

「知識」とは,
知ること。認識・理解すること。また、ある事柄などについて、知っている内容。(デジタル大辞泉より)

法律問題を解く上で「知識」は,論点抽出能力に直結し,事案に則した結論を出すための道具となります。

この「知識」の習得が合格への鍵となるわけですが,現在の環境において想定できる方法は,

①問題集から必要な分だけ
②基本書で広く,深く
③講義で広く,浅く

の3パターンが挙げられますね。以下においてそれぞれの性質をまとめていきます。


2.問題集は最強のインプット教材である

法律の問題集の構成は,
設問(事案)→解説(→解答例)

ですよね。基本的に受験生,特に初学者~中級者までの方は,

(設問が解けないから自分にはまだ早い...)

と考えてとりあえず基本書や短答に知識を求めるケースが非常に多いですが,これは大きな間違いです。
受験生の最終目標は資格試験に合格することですよね。それなら合格できるようなインプットをしなければなりません。すなわち,具体的事案の中から,①論点を抽出し,②時間制限内で,③妥当な結論を導く能力を効率よく身につけなければなりません。

そこで,問題集の出番なんですね。
前述の構成をもう一度見てください。

法律の問題集の構成は,
設問(事案)→解説(→解答例)

設問から①論点抽出能力
解説から③事案解決能力
起案から②答案作成能力

全ての能力を取り組み方次第で鍛えることができます。こんなに理想的なインプット方法は他にはありません。なので,問題集は最強のインプット教材といえるのです。

具体的な使用方法としては,
解答例付き問題集を用意し,
①1周目は読書をするように問題文→解答と通読
②2周目は問題提起,規範,原則,定義にマーカー
③3周目以降はひたすら通読(ここからは解説も)
→定期的にアウトプットしていく
です。

3.基本書を読んでも,基本書が読めるようにしかならない

基本書というのは著者の当該法領域の概観をまとめ上げたものです。
確かに,旧司法試験の時代は,主に基本書を使って試験対策をしていました。しかし,その理由はいたってシンプルで,
①当時の問題は1行問題(論点知識のみ問う)だったこと,
②予備校環境が揃っていなかったこと
だと思います。

したがって現行司法試験では事案解決能力が求められているのにも拘らず,事案類型ごとに抽象化された知識を習得しても,それを当該事案に具体化しなければならない,という遠回りな方法と言わざるを得ません。
もっとも,実務家は基本書やコンメンタールを使用して実務活動をします(さすがに予備校本を依頼者の前で広げるのは..)が,司法試験に受かった後,2,3ヶ月ほど修習前の猶予期間があるので,そこで読み込んでおけばいいだけの話です。

また,民事訴訟法などでは多くの場合設問に誘導が付されます。ですが,基本書によるインプットを拗らせると素直に誘導に乗れないおそれがあることは受験業界では割と有名です。

4.学部講義を聴講しても問題は解けない

大学の学部では当然法律学の講義がありますね。講義形式は多様にありますが,少なくとも聴講形式の講義は資格試験という観点からは役に立ちません。

聴講形式の講義はどうしても受動的になってしまいます。予習で具体的事案に則して考えてみても,講義では抽象化されてしまい,結局この事実はいつ使うのかわからない,なんてことが多々あります。

また,セメスター制が浸透しつつあるといっても,民法総則に半年かけるのは明らかに遅すぎます。半年あれば民法全てに加えて憲法,刑法は軽く周回できるので,資格試験には向いていないでしょう。
もっとも,法科大学院入試等において学部成績はある程度考慮されるので,最低限Aはとっておきましょう。

5.予備校インプット講義は初学者のためにしかない

大手予備校では必ずといっていいほどインプット講義(基礎講義)が用意されています。
予備校では,試験対策的に要所を抑えているので資格試験に向いているようにも思えますがどうでしょうか。

私が受講していた基礎講座は大体1年で法律実務科目までやり,そこから答練がセットになっているものでした。
日程は週に2~3回,1回3時間強だったので,大体400時間はインプット講義に充てていたことになります。

400時間をインプットに充てるとアウトプットに使う時間が当然減りますよね。そして資格試験は答案に書かれた内容しか採点されません。
(なにより,今,私がインプット講義の内容を思い出そうとしてもおそらく1割も頭に残っていないことを考えると,本当に必要なのか…?と疑問にさえ思ってしまいます。)

なので,よほど時間があまり,お金がある場合を除いて予備校の基礎講座を受講することは必要ではないと考えます。
(なお,安い基礎講座として,AGAROOTの総合講義100があります(15万ほど)が,初学者にとっては難解だと思います。理解力が並外れていれば受講してもいいと思いますが)

6.おわりに

以上でインプット方法の提案は終わりとなります。
なお,問題集が最強とは言いましたが,やはり事案が変われば評価も変わるので,他の人よりも多くの問題集で論点をカバーしなきゃいけない点は大きなデメリットだと思います。それでも,高速回転が可能なので,そのデメリットも十分なカバーできます。

次回は実際に問題集を使用したアウトプットについて提案していきます。

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