[学部生のための]司法試験方法論6-勉強法編③#アウトプット


目次


1.3つの能力に関連するアウトプットを意識する

2.使う教材は3種類に抑えるべき

3.時間制限なき答案作成などに価値はない

4.答案構成だけしても答案は書けるようにならない

5.起案量は答案作成能力に直結する

6.さいごに


1.3つの能力に関連するアウトプットを意識する

前noteでも再三述べていますが,司法試験において求められる能力は,
①論点抽出能力
②答案作成能力
③事案解決能力
の3点です。

これらをできる限り効率よく訓練していくことで最小限の努力で最大限の効果を得ることのみを考えて勉強方法を確立することが必要です。

前noteでは,自主ゼミにおいて実践する
①論証確認型ゼミ,
②答練型ゼミ を提案しました。
これらは,自分で勉強する上でも実践可能であり,できる限り方法論を乱立させても脳が慣れず,習慣化に失敗するおそれがあることから,私はゼミと同様に自分の勉強を行なっています。

(…私にはこれらしかアウトプット方法としては思いつきませんでした)

ご自身でも,自分にあったアウトプット方法を考えてみてもいいかもしれません。あくまで合理的に、そして効率的なものを構築しましょう。

2.使う教材は3種類に抑えるべき

皆さんは現在,問題集,何種類やってますか?

私は3種類です。
その内容は,以下の通りです。
①先輩作成の選択問題集
②重要問題習得講座
③法学教室の演習教室

たったこれだけ?って思いますか??
そうです。私の事務処理能力ではこれが限界なのです(事務処理能力については次回の計画で説明します)。

 私は他の受験生よりも事務処理能力が低いので,どうしても同期と渡り合うためには,可処分時間をできる限り投資するしかありませんでした。
 そのおかげもあってか,私は既に司法試験関連の過去問については全て検討済みです(新司法試験,旧司法試験,予備試験)。
 もっとも,重要問題習得講座の内容は旧司法試験の中でも簡単なものと,ロースクール入試の問題なので,論証確認型の勉強はこれを使用しています。

 使い方としては,1問25分で起案し,解答例から論証を確認し,あてはめのストックをしていきます。
あてはめのストックとは,ある事実が出てきたら〜のように評価する(Ex.コンクリートは固い等),といったあてはめの手法をそのまま取り込んでいきます。こうすることで,問題文の事実から論点を想定することが可能になります。

 そして,法学教室の演習教室では,40分で起案をし,解説を読み込んで自分の論点抽出能力に落とし込んでいきます。法学教室の演習教室は,解説が丁寧なのである程度「答案の型」が定着していれば素直に答案化できます。具体的には,問題提起→規範→あてはめの形になっているんですね。例外もありますが…

3.時間制限なき答案作成などに価値はない

 先程わたしは,答案作成に際し必ず制限時間を設定していましたが,この設定は大事ですよ。
 まず,②答案作成能力を鍛えるために必須です。基本的に私たちは強度の緊張状態に陥ると普段のパフォーマンス通りに思考出来ません。したがって,実際の試験時間と全く同じ時間設定だと本番で途中答案となってしまうリスクが高まります。これは私見ですが,論理的整合性が取れていない答案よりも,途中答案のほうが心証悪いです。なぜなら,設問者が求めている解答に答えていないからです。
(法律関係が問われているのにも拘らず,主張反論までしか書いておらず,途中答案等)

 こういったトラブルを回避するためにも,普段から時間制限を設け,意識的に緊張状態を作出し,慣れることが重要となってきます。

 また,こちらも私見となりますが,時間をかけて優良答案を書くことなんて誰 でも出来るわけで。こんなものは陸上でいう参考記録にすぎないんですよね。あくまで時間的制約の中で妥当な結論を導く能力を問われているのですから,これに則した勉強法をすることで効率化を図りましょう。

4.答案構成だけしても答案は書けるようにならない

 たまに問題演習に関して「量」をこなすことを意識してか,答案構成のみに留めて周回していく人がいます。もっとも,この手法は極めて玄人向きであることは知っておかねばなりません。

 前提として,人によって答案構成の意義(どこまで書くのか。具体的には, 論点名と結論のみ書くのか,論点内容の論証まで書いて論理接続だけ省略するのか)は変わりますが, ここでは時間短縮に重きをおいているので,論点名と結論のみ書くことを定義とします。

 答案構成しかしない場合,当然構成用紙に記載されるのは論点名と結論なんですが,この手法を採用するにあたって,幾つかの条件が存在します。それは,

①起案しているのでは試験に間に合わないこと
②論点名を見れば直ちに論証が吐き出せること
③当該問題を潰している(完璧になるまでやり尽くした)こと

 この場合には例外的に構成のみで回転数を早めたほうが効果がありますが,学部生にはあまり推奨できません。なぜなら,法律答案の作成経験が乏しい学部生にとって,文章化しなければ気づかない論理飛躍,矛盾を発見することが出来ないからです。
 論理矛盾は本当に頻発します(Ex.犯罪が既遂になったにも拘らず中止犯を成立させる)。こういった矛盾は一旦頭のなかで構成しているだけでは発見することが出来ません。答案化し,論理の流れを視覚化することによって初めて気づく論理矛盾や論証の不確実性は想像以上に存在し厄介ですよ。

5.起案量は答案力に直結する

 前項において,答案構成の不安定さについて述べましたが,対してフルスケー ルの答案起案はどうでしょうか。おそらく,ネックとなるのが可処分時間との兼ね合いかと思われます。
 もっとも答案化することによる恩恵は非常に大きいです。まず前述のように論理矛盾等についてセルフチェックすることが可能になります。人間というのはずるいもので,答案例を見たとき,自分の説では対応できないことがわかっても,「この説も頭に浮かんだんだよな」と合理化してしまい,間違えたことを脳が勝手に否定し,記憶に定着しません。次回に書く計画でも述べますが,試験勉強において効率的に処理していくためにはPDCAを高速展開することで自己の勉強法を確立させていくことが大切になってきますが,これを視覚化することでより効果的にC(heck)→A(ct)へとつなげることが出来ます。実際に書いてある答案から修正していくので誤魔化しが効かなくなるんですね。
 冒頭の可処分時間との兼ね合いですが,やはり試験が論述式である以上答案作成の時間を削ることは得策ではありません。なので削るとしてもアウトプットを削るのではなく,インプットを削るのが妥当でしょう。今まで提案してきたインプット方法はそのままアウトプットに直結するのでインプットを削ったところで決定的な欠陥とはならないでしょう。

6.さいごに

次回は最後の計画方法について提案していきます。

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