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未経験からインフラエンジニアに転職する方のスキルアップについて思うこと

先日、

未経験の女性(30代)がインフラエンジニアになりたいと最近言い始め、
2ヶ月程スクールに通って勉強して就職したいと言ってる。
未経験も採用してくれるSierからキャリアアップしていく方がいいのでは

という趣旨のツイートを見かけたのがきっかけで、これを書こうと思いました。
あくまでも、わたし個人としての私見であり、これが全てとは思いません。いろんなご意見があるかと思いますが、少しばかりお付き合いください。

最初に感じたこと

 まず、IT業界未経験者をインフラエンジニア限定で中途採用してくれるような(それも30過ぎ)SIerってあるのかな?と思いました。
SIerが中途採用するような人というと、経験者 とか、インフラは未経験だけど今までIT業界に何らか関わってきていた人たちという印象が強いです。
未知識・未経験でインフラを目指すのであれば、SIerではなく、運用・保守専門でやっているSIerのグループ会社とかなら中途採用してもらえるのかもしれません。
 それでも、第二新卒ならともかく、業界未経験で30歳過ぎ+インフラエンジニアでとなると、「自宅でサーバ構築してました」とか「AWSでサーバ運用してます」等のアピールポイントがないと、なかなか厳しいのではないかと感じていますが、人手不足と言われて久しい昨今では、そうでもないのでしょうか・・・?

 もちろんSIerに採用されれば、構築案件に最初から携わることだって可能でしょう。そうすれば一気にスキルだって積めるますしね。
でも、希望する全員が全員SIerに就職できるとは思えなくて、むしろ派遣とかSESで派遣されて仕事を始めるケースも結構あるのではないかと思うのです。それも、構築ではない業務で。。。

 インフラエンジニアと一口に言ってもその業務内容はとても広範で、派遣やSESであったとしても、最初から構築業務に携われる人は、即戦力 or 前職でSEやってた or 開発経験がある or 高度資格もってる etc. そういうレベルの人でないと難しいのかなぁ、と思うわけです。
未経験からの転職だと、最初は監視とか、キッティングとか、そういう業務からになってしまう印象です。このあたりが、プログラマーと大きく違うところなんじゃないかと思います。

未経験者への対応 

 最近では、スクールなどで数ヶ月勉強してから就職、なんていうパターンもありますが、会社によっては、入社後2~3ヶ月掛けて研修があり、そのなかでビジネスマナー研修などに加え、CCNAやLinux(LPIC)の資格勉強もします。教本も会社から支給してくれるところもあります。
※未経験者にいきなりLPICの勉強させることに対して私は懐疑的です。
 基本情報処理技術者試験を勉強させたほうがよっぽどマシだと思っていま
 すが、その点についてはまた後日。。

 これは、未経験で資格を1つも持っていないととても案件がみつからないからです。SIerの正社員になれたらなら資格なんて二の次なんでしょうが、派遣会社の場合は、未経験者に初級資格を取らせてからでないと、派遣先もスキルシートの段階で「お断り」となってしまうのです。

担当業務内容でその先のキャリアパスに差が出る 

 さて、2~3ヶ月の研修を終えると、未経験の彼らは「エンジニア(+初心者マーク)」という肩書きを引っさげて「派遣(ドナドナ)」されていくわけですが、ここからが今日のメインのお話です。

 私の知る限り、未経験者の方は大きく以下の業務内容での派遣になります。
 ・キッティングメンバー
 ・監視要員
 ・ヘルプデスク(サポートセンター)要員
 ・運用保守要員
受託案件があれば、案件次第で構築要員としてスタートできるラッキーなケースもあるかもしれません。しかし派遣(SES)形態の場合、いきなり構築要員として着任できることはまずありません。凡そは上記のような業務内容での派遣となります。

 私の個人的な意見として、上記のなかでも、「キッティングメンバー」「監視要員」「ヘルプデスク(サポートセンター)要員」から始まってしまうと、その先のスキルアップ、キャリアアップが難しくなる印象があります。
その業務から抜け出せなくなる、というと分かりやすいでしょうか?

 なぜそうなるか?

 スキルらしいスキルを身に付けられないからです。

 確かに最初は「ITの世界だー」と楽しいのかもしれません。サーバやスイッチ、ストレージなんか見たこともないからきっと目新しいことでしょう。
 でも、あるとき気付くんです。
 何年経っても手順書に沿った行動しかさせてもらえない世界。エンドユーザとのやり取りとマニュアルに書かれている内容を回答することに終始するオペレータ、テスト項目書に記載されていることだけするテスター。。。

 3年経っても5年経っても職務経歴書に書けることが増えていかないんです。だって、手順書通りの作業しかさせてもらえないのですから、その手順書以上のことはできないんです。

 「5年くらいサーバの監視をやっていました。でもサーバの設定は
  やったことありません。」
 「ネットワーク機器の監視やっていました。アラートを検知するとそれを
  担当者に連絡する仕事をしていました。アラートの検知方法ですか?
  それは設定したコト無いので仕組みとかわかりません。」

これ、どうです?
実際に監視要員やヘルプデスク要員で仕事しきていた人と話した時の内容です。。切なくなります。。

キャリアアップしたかったら、運用保守要員を目指したほうがいい

 未経験からインフラエンジニアになりたかったら、構築要員が一番良いに決まってます。でもそれが難しいなら、まずは運用保守要員を目指したほうが良いと思うのです。
 運用保守と監視と何が違うんだ?と思うかもしれないですが、最初は殆ど同じような業務しかさせてもらえないでしょうが、次第に差が出てきます。

 一番大きいのは、システムの全体像を把握できるようになることです。
 サービスやシステムの運用・保守をするには、どこにどのサーバが存在し、それれらを繋ぐスイッチやファイアウォール、ロードバランサがどこに居るのか、そしてそれらがどういう設定で動いているのかを知っている必要があります。
 その際たる例が障害発生時です。あるサーバからアラートが発報されましたとしましょう。そのアラートが発報されたことで、どこに影響があって、何が使えて何が使えないのか、影響範囲を把握するには、システム全体像が見えていないと対処ができないのです。
 それに、障害の原因を探るために機器の設定を嫌というほど見ることになります。
エラーログが出ていないだろうか?このログが出ているということは、あのサーバにはこういうログがあるのだろうか?サーバのリソースは足りているのか?セッションは残っているのか?データはどうなっている?等など・・・。自分の持っているサーバやネットワークの知識をフル稼働させて調査にあたるわけです。

 もうこれだけで十分スキルが付きます。

 運用保守の場合は、更に機器の増設や設定追加もありますので、都度自分たちで手順書を作成したり設定をしますから、そのタイミングでも確り学べるわけです。

 SIerの新入社員がインフラ部門に配属された場合、スキルにもよりますが、運用保守要員・構築要員として現場にやってきます。そして、現場の先輩に付いて、ひとつずつ教えてもらって覚えていくわけです(OJTですね)。
3年もすれば立派な運用保守要員です。設計だって始めるようになっています。
未経験からの転職の場合、この状態にありつけるかどうか、というのは大きいと思います。

運用保守要員を長く続けないこと

 運用保守要員として長くやる必要はありません。ある程度一人で設定・対応できるようになったら、構築に行きましょう。
 長くやればやるほど、「保守しかやってきてないの?」と言われかねません。実際に、十数年運用保守(+構築)をやってきていたハイレベルな人でも、次の常駐先に行こうとして、上記のコトバを言われたことがありました。
※職務経歴書の書き方にも問題あったと思うのですが、10年余りの間、
 運用保守しかやっていない、という印象は却って不利になってしまいます。。

運用保守要員に配属されなかったときは・・・

 運用保守要員の仕事じゃない!と焦って、ノーキャリアのまま別の会社に行くのは避けたいです。ノーキャリアであることに変わりはないので、どこへ移ってもノーキャリアのまま。それなら「1年」と自分で時間を区切って、監視なりヘルプデスクなりの業務をこなしたほうが良いと私は思います。まずは「未経験」というラベルを剥がしたほうが良いと思います。

 その間に何もせず時間を過ごすのではなく、インフラ系の資格(CCNAとかLPICとか基本情報など)を取得し、次に繋げられるように準備をしたほうが良いです。
 そして、これだけの資格を取ったんだから、運用保守やりたい!と自社に直談判です。それでも変わらないようなら、そのときは、そんな会社さっさと見切りをつけて、次の会社へ行ったほうが幸せだと思うのです。

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