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【マガジン】キャラクターとライセンス

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キャラクター関連の話をライセンスの観点から、ビギナーから現場の方までに、私の経験を通してお話します。
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2021年8月の記事一覧

キャラクターとライセンス <4>ライセンシー

前回の続きです。 今回は、ライセンシーの立場から色々書きます。 キャラクター関連を製造販売するライセンシーとしては、次から次へと登場するキャラクターの中から、自分の会社の流通先(顧客)が喜ぶ商品(売れるであろう商品)をつくるため、時間を掛けて選びます。 時間を掛けて・・なのですが、実際は競合の会社より早く唾を付けて取得しなければなりません。 エバグリーン・キャラクターと呼ばれる、流行り廃りのないキャラクター、例えばミッキーマウスやハローキティー、ミッフィー、スヌーピーな

キャラクターとライセンス <5>ライセンシーの仕事

前回の続きです。 ライセンシーのお仕事 エンタテインメント系メーカー(ライセンシー)のライセンス担当だった私です。 エンタテインメント系といってもいろいろありますが、私の経験として、クレーンゲームの景品をキャラクターで商品化していました。この視線で体験したことを書かせていただきますよ。(出てくる会社名は想像におまかせします) クレーンゲームの景品(以下プライズ)はゲームセンターのバイヤーに買ってもらうので、仕事としてはBtoBになります。でも、そのプライズはゲームするユー

キャラクターとライセンス <6>ライセンサーと仲良く

前回の続きです。 ライセンシーとしてのライセンサーとの付き合い方です。 前回、前々回で書いたように、ライセンス担当としては、ライセンサーとのコミュニケーションが大切です。(←しつこい) もちろん、それまでの実績で多くの販売をしてロイヤリティーを支払うのもそうですが、人と人でのつながりがもっと重要。 たとえ、以前のライセンスで販売が伸びなくても、「今度はがんばります」といえる関係づくりを普段からしておくべきです。 いくら有名な企業でも、ライセンシー担当に気に入られなければ、

キャラクターとライセンス <7>CMキャラ

前回の続きです。 CMキャラのライセンスのお話。 一般の人に認知度抜群の、CMキャラクターはキャラ探ししているメーカーにとっては、可能なら是非ライセンスしてほしいものです。 ライセンシーになり商品化すれば、ある程度の話題性と商品とキャラクターがうまくマッチすると大きなヒットに繋がる可能性を秘めています。 きっと競合のメーカーも狙っているでしょう。 CMキャラクターでも、全てが商品化して売れるとは限りません。 もう何年も全国で放送されていて、すでに飽きられているキャラクタ

キャラクターとライセンス <8>SNSキャラ

前回の続きです。 今回は私の経験から、SNS関連キャラクターのライセンスについてです。 SNS関連といっても、色々なタイプのキャラクターがあります。 大きいものではLINEフレンズ、LINEスタンプには何十万のキャラクターがあります。 その中にはLINE公式のものと、 LINEクリエーターズという、誰でもスタンプをアップできるものもあります。 また、スタンプのためにミュージシャンをイラスト化したものもありますね。(BT21とか) LINE以外にも、カカオトークやフェ

キャラクターとライセンス <9>ミュージシャンの権利

前回の続きです。 前にも書いたけど、ミュージシャンの権利をどうやって取得したかを、もっと具体的に書いてみますね。 プライズの商品化のときに、キャラクターは必須の要素です。 色々なタイプのキャラクターのライセンスを受けました。 私の経験では、まず最初にタカラ(まだトミーと合併する前)のトランスフォーマーをTVでアニメ化するときに取りました。 同じスキームで、いくつかのライセンシーになったあと、その頃とても人気が高かった、avex所属の大塚愛さんの権利です。といっても、彼女の

キャラクターとライセンス <10>韓流アーチスト

前回の続きです。 韓流アーティスト(K-POP)の権利について 東方神起、BIGBANG、TWICE、SHINee、SEVENTEEN、BTS、BLACKPINK、EXO、SUPER JUNIOR、NiziU、iKON・・・ 日本でも人気のK-POPアーティストたちは、ファンの熱さがはんぱないですね〜。 やはり、商品化には彼らのキャラクター化されたイラストがライセンスされますが、それはほんの一部のアーティストに限られます。 まず、彼らの事務所が外部の会社へのライセンスをあ

キャラクターとライセンス <11>スヌーピー

前回の続きです。 デザイナーとしてスヌーピーのライセンスと商品デザインについて。 私は1984年にスヌーピー(PEANUTS)専門のデザイン事務所をはじめました。 クライアントは鉛筆メーカーのT社さん。初めて版権を取るということで、SNOOPYを選んだ。ライバルのM社さんはディズニーをすでにやっていました。 鉛筆メーカーではあるけれど、せっかく大きなスヌーピーというキャラを契約するなら、幅を広げてステーショナリーも契約しました。これは非常に良い選択だったと思います。そん

キャラクターとライセンス <12>ライセンス展示会

前回の続きです。 今回はライセンス関連の展示会の話だよ。 ライセンサーやライセンシーがキャラクターやブランドなどを求めて人が集まる展示会が年に何回も催されています。 また、デザイナーや個人のクリエイターがクライアントを求めて行われる展示会もあります。 いずれも基本BtoBです。 そういった展示会を主催する企業が大きく2つあります。 なぜか今年(21年)に両社とも社名変更しました。 ・リードエグジビションジャパン株式会社→RX JAPAN(株) ・UBMジャパン(株)→イ

キャラクターとライセンス <13>海外ライセンス展示会

前回の続きです。 海外のライセンス関連展示会についてです。 世界中に日本と同じようにライセンスの展示会があります。 世界で最も大きなものは、米国ラスベガスのマンダレイ・ベイ・ホテル(銃乱射事件があったホテルですよ)のコンベンションルームで行われる「Licensing EXPO LasVegas」というもの。 世界中からライセンサーが集まり、毎年6月ころに広大なホテルの会場で催されます。この、Licensing EXPOは世界中で行われていて、ロンドン、東京、上海、香港。

キャラクターとライセンス <14>ディズニー

前回の続きです。 今回はディズニーと仕事した話しです。 ずいぶん昔話になるから、今のディズニーさんとは違っていると思うけど、大きなキャラクターの仕事をしたこと、書いてみますね。 <11>で書きましたが、スヌーピー専門のデザイン事務所を始めて、エージェントと監修のたびに打ち合わせや、交渉を繰り返していました。 エージェントは多くのスヌーピーのライセンシーと契約していて、ほとんどがメーカーさんです。 あるとき、エージェントに行き、スヌーピーの監修で打ち合わせをしたときに、「

キャラクターとライセンス <15>海外キャラライセンス

前回の続きです。 海外キャラクターのライセンサーとエージェントについて。 と、一言では言い切れないくらい、各社違う特徴を持っているよ。 だいたい海外キャラクターっていっても、コミックやアニメーション、映画、絵本、アートに近いものまでいろいろです。 コミックで言うと、マーベル・コミックス、DCコミックスだし、アニメーションはシンプソンズやハンナ・バーベラ。映画はもちろんバットマンやスーパーマン、絵本はウォーリーを探せ、タンタン。アートに至ってはアンディ・ウォーホールやバンク

キャラクターとライセンス <16>売れるキャラを探す

前回の続きです。 エージェントがコンテンツを探すとき。 ライセンスエージェントの仕事はこちらでも書きましたが、どんなキャラクターをエージェントが扱うのでしょうか? もちろん売れるキャラですね。 じゃあ、売れるキャラってどんな特徴があるのでしょうか? 多くの人に人気が出るキャラですか? ある意味正解ですが、それだけではありません。 ミッキーマウスやハローキティなどは多くの人に人気で、その商品はよく売れるので、いろんな商品に展開されますね。 だけど、たくさん売れるだけ、同じ

キャラクターとライセンス <17>ロイヤリティー

前回の続きです。 ライセンサーの収入源、ロイヤリティ。 だいぶ専門的になってきましたよ〜! 何回も書いてますが、キャラクターを自社の商品に使って付加価値を上げるためには、当然支払いが生じます。 自社で開発したキャラクターを使う分には支払いは発生しませんが、付加価値になるほど「価値」を出すには時間がかかります。 そこで、商品の販売にプラスとなるキャラクターのライセンシーとなって、商品化します。そのときに支払うのがロイヤリティです。 少し詳しく説明するよ。 ロイヤリティは決