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槌音 (01/06)

・寝不足により今日の日記は短めです。


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・関東で大雪!

(ここに大雪の写真を貼る)

・雪の多い日本海側や東北地方で生まれ育ってない私にとって、数年に一度やってくる本格的な降雪は大興奮ものだ。自分が20歳をとっくに超えていることも忘れ、窓にかじりついて雪が降る様子を見ていた。

・だが、公園に繰り出しても雪だるまを作ることはしなかったので自分も大人になったんだな、と思う。身長の半分くらいまでに成長させた巨大な雪の球体を転がしてはしゃいでいるちびっこたちをしばらく眺めていた。まだ積雪量がそこまでではない時間帯だったから、雪の層をちょっとほじくると地面が顔を出すくらいにしか積もっておらず、子どもたちの作る大玉はどれも泥だらけだった。自分の作っているものがどんなに汚れようと、それでも彼らは雪玉を成長させたいようで、何かに取り憑かれたように転がし続けていた。

・公園につもる雪はふわふわしていてとても綺麗だった。場所の特定ができないようにトリミングしたせいでなんだかよくわからない写真になってしまったけれど。

・こういう日は、あたたかい家の中でじっとしているに限る。外でしんしんと雪が降る中、窓の向こう様子に思いを馳せながら家でゆっくり本を読む、みたいなのが風流だよね。

・というわけでアルストロメリアのイベントコミュ「アンカーボルトソング」を読んだ。いつもは考察をこねくり回したような感想文を書くところだけど、今回は短め。でもとっても心にくる話だった……!(ネタバレあり)

「アンカーボルトソング」

・「アンカーボルトソング」は、ソロでの活動が増えていく中で否が応でも変わっていくことを強いられるアルストロメリアの3人が、その”変化”に何を思い、何を決意するのか、そういった話だ。「薄桃色にこんがらがって」や「G.R.A.D.編」で描かれたユニット内の変化や個人の変化を踏まえ、昔とは違う”いま”のアルストロメリアを真正面から描く集大成のような物語で、とてもエモーショナルだった。

「アンカーボルトソング」よりオープニング「雨の中のあたたかい錆のにおい」

・ユニットとしての活動が減り、個人の仕事が増えていくアルストロメリア。千雪は歌番組の司会に抜擢され、甘奈は化粧品メーカーの商品開発企画のアドバイザーとしてプロモーション活動に取り組み、甜花はバラエティ番組のレギュラーの仕事を得る。

・3人はそれぞれに活躍の場所を見出し、ユニットのメンバーとしてではない自分の姿を出すことに喜びを感じていく。

「アンカーボルトソング」より第3話「memory」

・甘奈が自らの仕事に誇りを持って取り組もうという姿勢になったのは、G.R.A.D.編での出来事があったからだ。

「ギラつくじゃん、時々」

「アンカーボルトソング」より第3話「memory」

・千雪がユニットの中での立ち位置から離れて”個”を出そうとするのも、G.R.A.D.でのやりとりがあったからこそ。今まで積み上げてきたものが思い出されて、少し嬉しい。

「アンカーボルトソング」より第3話「memory」

・甜花だって負けてはいない。ベテランにフォローされながらもバラエティの仕事をきっちりこなし、仕事をすることについて甘奈の言っていた意味が分かった、とプロデューサーに語る。

・けれど、ソロでの仕事が増えることは、ユニットとして3人が活動する機会が減ることを意味していた。それぞれが新たな仕事に忙殺される中で、お互いがお互いのために時間を取ることができなくなっていく。その様子はまるで、大きな波に飲まれて見えない力で離れ離れになっていくようだ。

・それが原因で生じる静かなディスコミュニケーションを描くのが本当に上手い。「薄桃色〜」でも思ったけど、アルストロメリアのコミュの心情描写はね、良い……。

・それを象徴するようなシーンをひとつ紹介しておく。甜花が担当するラジオに甘奈をゲストで呼べないか、と打診するディレクターの言葉を伝えるために話しかけようとするが、香水の勉強に忙しい甘奈の前でそのことを言い出せない甜花。言葉にならないもどかしさが、痛々しいほど伝わってくる。

「アンカーボルトソング」より第3話「memory」

・そんな3人を見守るファンの気持ちも複雑だ。解像度が高すぎて笑ってしまったのだけれど、ユニットでの仕事が少なくなったことにSNSで”お気持ち表明”するオタクまで現れる始末。

「アンカーボルトソング」より第3話「memory」

・極め付けは、ファンがSNSに投稿した、初期のアルストロメリアの写真を並べたアルバムだ。それはもう遠い昔の出来事のような、永久凍結されたアルストロメリアの姿で、いまの3人とは違う。

・それでは、波にもまれ変化してしまった現在のアルストロメリアは、否定されるべき存在なのか? 新しい境遇に戸惑いながらも、3人はその問題に答えを出す。その過程がとても丁寧に語られていたのが、とても素晴らしかった。

「アンカーボルトソング」より第5話「みんな」

・”変わっていくもの” についての終盤のやりとりが、とても印象的だ。

「おばあちゃんになるまで、アルストロメリアでいたいよ だけど、そう願うだけでそういられるわけじゃない……」

「アンカーボルトソング」より第6話「のびる、びる」

・アルストロメリアが変化していくことは、否定されるべきことではない。けれど、変化していくアルストロメリアの中で、変わりたくないものを守るためには、ずっとこのまま何もしないでいるわけないはいかない。

・アンカーボルトとは、建築物の基礎に対して建材を固定するためにコンクリートに埋め込むボルトのことをいうそうだ。コミュの中では、昔のアルストロメリアといまのアルストロメリアを対比させるシーンで、ずっと建設を続けるビルの工事の話が出てくる。かつて3人で仕事をした場所を彼女たちが再び訪れたとき、街の風景はがらりと変わっていた。それでも、変化していく街並みの中でそのビルが今でも変わらず工事を続けているのは、伸びていくビルと基礎とをつなぐアンカーボルトがあるからだ。

「アンカーボルトソング」よりエンディング「槌を打つ音がきこえる」

・大きな潮流の中で変わっていくアルストロメリアを受け入れながらも、本当に変えたくないものを守るために、アルストロメリアは久しぶりの3人でのステージで歌を歌う。それが、アルストロメリアのアンカーボルトソングなのだ。

・お花畑のような初期のアルストロメリアから始まり、「感謝祭編」「薄桃色〜」で見せたユニット内での心の動き、3人それぞれの「G.R.A.D.編」で見せた個人の意識の変化、そして「アンカーボルトソング」に至るまで、このアルストロメリアというユニットの軌跡をここまで丁寧に描いてくれたことに感謝します。


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・おまけ:アンカーボルトソングを読んだ後に純度100%の千雪さんツイートが流れてきて心が決壊した。

・なんだこれ、あまりにも千雪さんすぎるじゃねえか!!!!

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