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Do not talk about... (02/20)

・ここ数日、朝から晩まで家でぐうたらする日とゲーセンまで足を運んでmaimaiをやって帰る日を交互に繰り返していたけれど、この日は久しぶりに友達と遊んだ。

・やることといえば、サークル同期と一緒に後輩の家にお邪魔して、TVアニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」の鑑賞会である。「ラブライブ!」シリーズとはまったくご縁がなかったのだけれど、これにどハマりしている二人の強い勧めでこのたび布教をされることになった。

・6時間ぶっ続けで全13話を観た感想としては、うん、良かったし、面白かった! 制作側が真摯にアニメを作っているのが感じられたし、全員に見せ場があったし、後半の主人公ふたりの関係性の変化にはとてもはらはらさせられた。

・「虹ヶ咲〜」は東京・お台場にある高校「虹ヶ咲学園」の生徒たちが「スクールアイドル同好会」を結成し、スクールアイドルとして活動していく様子を描いたTVアニメだ。登場人物は同好会のメンバー10人で、主人公の高咲侑がスクールアイドルのパフォーマンスに感激するところから物語は始まる。そんな侑の姿に感化された幼馴染の上原歩夢や、他に8人の生徒たちを巻き込んで、スクールアイドル同好会としての活動がスタートする。

・あらすじだけ書くと普通だけれど、このお話、かなり攻めてるんですよ。

・まず、従来の「ラブライブ!」シリーズとは違い、彼女たちはユニットを結成しない。過去にグループで活動しようとして方向性がまとまらずに同好会に不和をもたらしてしまったという苦い経験から、あくまでメンバーそれぞれがソロとして活動していくことを選択する。最初から最後まで〈個〉としてのアイドルを描いているのだ。その上で、「お互いに望むことは違えども〈楽しい〉〈面白い〉を求める姿勢は同じだよね」という、ばらばらな個性が共存する中での調和が実現されている。ソロ活動に専念するという方針は徹底していて、「ラブライブ!」(無印)での「μ's」や「ラブライブ!サンシャイン!!」での「Aquors」のようなユニット名すら存在しない。

・極め付けは(これが一番すごいと思ったけれど)、主人公である侑がアイドルにならないことだ。大事なことなのでもう一回言う。このアニメでは主人公がアイドルにならない。

・スクールアイドルに魅せられて同好会に入った侑は、自分はアイドルとしてパフォーマンスをするよりもサポートのほうが性に合っている、と序盤から表明する。彼女がステージに立つことはないのだ。

・アイドルものの物語の重要人物に、アイドルではないサポート役の人間がいる。……この構造って、アイドルマスターじゃん。「虹ヶ咲」における高咲侑って、アイマスにおけるプロデューサーとすごく似ていない……?

・調べてみておったまげたのだけれど、TVアニメの原作となったゲーム「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」のシナリオでは、高咲侑に相当する人物はゲームのプレイアブルキャラクター(ゲーム内で「あなた」と称される)なのだそうだ。アニメ化前は高咲侑というキャラクターもビジュアルも存在せず、アニメ制作に際して名前を公募で決めたらしい。すごい。さっきの勘は正しかったわけだ、アイドルマスターというゲームにおけるプロデューサーがゲームをプレイしている〈私たち〉を投影しているように、スクールアイドル同好会の一員としてメンバーを支える高咲侑は、〈私たち〉の分身がもとになっていたのだ。

・すごいアニメ化だな……。もともとはゲームをプレイする「あなた」だった存在に高咲侑という人格と風貌と声を付与して、スクールアイドルに関わる一人の少女の高校生活を描く物語に昇華したわけだから。

・そもそも構造の異色性云々を語るまでもなく、このアニメはとても良いものだった。特に、終盤のクライマックスである侑と歩夢の間に生じたすれ違いとその解決はとてもエモーショナルだったね……。ネタバレはしたくないので詳細は伏せるけれど、幼馴染として閉じていた二人の関係性が、侑の視点が〈みんな〉のほうへシフトしたことで変化を迫られる様子がとても丁寧に描かれていて……。変わっていくことに戸惑う歩夢の姿が印象的な11話、やばかった。

・さらに褒めるけれど、全編通して興ざめするシーンとか「そうはならないだろ」みたいな場面がほとんどなかったのも良かったね。そもそも設定に荒唐無稽なところがあって、お台場にあるとされる「虹ヶ咲学園」はどう見ても東京ビッグサイトに酷似したビジュアルで、校内は超ハイテク、100個もの部活や同好会が活動している。けれど、そういったアンリアルさが物語のリアリティの強度をまったく減じていないのは、キャラの行動原理の描写がきっちり丁寧だからだと思う。

・実を言うと「ラブライブ!」無印のアニメは大昔に最初の数話だけ見たことがあって、当時は設定や展開についていけなくて視聴をやめてしまった。そういう違和感が「虹ヶ咲」にはなかったのも、とても楽しめた理由のひとつだ。


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・虹ヶ咲のアニメを見ながら、サークルの後輩がネットで注文した牡蠣を食べた。生食用だったので、生・鍋・アヒージョの3品を作ったのだけれど、とても美味しかった。

・これは飯テロです。

・生牡蠣を食べたことは今までに1回しかなくて(大洗に小旅行に行ったときに特大の岩牡蠣を食べた)、海を濃縮したような味に衝撃を受けて少し苦手意識があったのだけれど、この牡蠣はクセも臭みも少なくてとても美味しく食べることができた。

・アヒージョを作るのは初めてだったけれど、とっても簡単だね。鍋に具材とにんにくのみじん切りと鷹の爪を投入し、具材が浸るくらいにオリーブオイルを入れて塩で味付けして加熱するだけ。十数分までば美味しい一品料理の完成だ。こんど家でもやってみよ。

・商品名は「サムライオイスター」というらしい。なんか聞いたことあるなと思ったら、この前ネットで読んだこれじゃん。


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・アイドルつながりでシャニマスの話をします。今回のアプデで登場した透のsSR【殴打、その他の夢について】を読んだ。すごいタイトルだな……。

・球技大会のカメラ担当を任された透が、数日前に観たという「男たちが店の裏手で殴り合いをする映画」に感化されて、被写体に生命力の発露のようなものを見出す、そんなお話。え、どんなお話……?

透sSR【殴打、その他の夢について】より「写像1」

・この殴り合い映画って、おそらく「ファイト・クラブ」のことなんだけれど、有名だということは知りつつ観たことがなかったのでせっかくだから寝る前にネトフリで観ることにした。

・なんだこの狂った映画は……クスリでもやりながら作ったんですか?(褒めています)

・主人公は自動車のリコール調査員。不眠症に苦しむ彼は、「世の中にはもっと不幸な人間がいる」という医者の一言をきっかけに癌患者のつどいに顔を出しては嘘の同情を買う生活を始める。

・そんなある時、住んでいたマンションが火事になり家財道具をすべて失った彼は、出張中の飛行機で知り合ったタイラー・ダーデンという男(ちなみにブラッド・ピットである)と同居することになる。奇想天外で危険な匂いのするタイラーに翻弄される日々だったが、ひょんなことから男たちがバーの地下室に集まって1対1の喧嘩を行う「ファイト・クラブ」を結成するのだった……。

・あらすじを説明するとざっとこんな話になる。いや、どんな話……?

・ちなみにここから先に何個も新たな展開が待ち受けていて、どんどん常軌を逸した話になっていく。かなり変な話なので騙されたと思って観てほしい。

・こんな映画を透が観ていたというのは面白すぎるけれど、妙に納得感がある。これ、浅倉が好きそうなタイプの映画だわ……。深読みをすると、実は透のG.R.A.D.シナリオとテーマが共通しているのでは、と考えられなくもない。


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