☆&⊕ (12/16)
・めざましをかけなかったので11時くらいに目が覚めた。まずい2限に遅刻だ! 間に合わない、と思って慌ててZoomを起動したら誰もいない。調べたら今日は休講らしい。最近こんなことばっかりだ。
・仕方がないので窓のそばのソファでスマホをいじっていたら気づけば1時間くらい経っている。やれやれ。
・午後はシャニマスをやった。先週までに放クラのG.R.A.D.シナリオを全部読み終わったので、今度はアルストロメリアと向き合う番だ。というわけで甘奈のG.R.A.D.編をプレイする。
・最初にネタバレなしの感想を言うが、かーーーーなり良かった。甘奈の内面に深く切り込み、彼女がどのようなパーソナリティの人間なのかが明示的に語られる素晴らしいシナリオだった。これこれ、私がシャニマスに求めているのはこういうのだよ!
* * * * *
(ここから先は甘奈G.R.A.D.やアルストロメリア感謝祭、及び「薄桃色にこんがらがって」などのネタバレを含みます)
・大崎甘奈は明るい人間だ。3人組のアイドルユニット「アルストロメリア」のメンバーである彼女は、誰にでも優しくすぐに打ち解けることができる。引っ込み思案な姉の甜花を溺愛しており、同じユニットの千雪とも仲がいい。アイドルとしての仕事をそつなくこなし、ファッションに造詣が深い。
・これがW.I.N.G.編を読んで甘奈について知ったすべてだ。少なくとも表面上は、彼女には何の欠点もなさそうに見える。だから、白状すると最初は甘奈に対して、リアリティの欠如というか人間味のなさを感じてしまっていた。
・けれど、甘奈はそんな薄っぺらい人間じゃなかった。甘奈のパーソナリティは二重三重にもなる皮で巧妙に覆い隠されていて、ちょっとのことではその中身を見せてくれない。だから、甘奈は溌剌として一生懸命な「まっすぐで良い子」に見えてしまう。でも彼女の「ガワ」の奥には、人間的な弱さをかかえた”ほんとうの”甘奈が隠れているのだ。そのことが、感謝祭編やイベントコミュを読んでいくううちに徐々に明らかになってくる。
・ファン感謝祭編には、甜花と千雪に対して、甘奈が「変わることへの恐怖」を吐露するシーンがある。
・未来を見据えて前に進んでいくふたりとは違って、自分は「今の幸せなアルストロメリア」がずっと続くことを望んでいる、そんな甘奈には、甜花と千雪がどんどん遠くに行ってしまうように見えたようだ。
・このコミュに象徴されている通り、甘奈は”いま”が壊れることを極端までに恐れている。では、自分が良かれと思ってしたことが3人の関係性を決定的に変えてしまって、もはや今までのアルストロメリアではいられないと分かったとき、彼女はどうするか。それを描いたのがイベントコミュ「薄桃色にこんがらがって」である。
・先方のオファーで自分がモデルのオーディションを受けることになった雑誌が、実は千雪にとって人生のバイブルのような存在だったこと、諦めきれずに千雪もオーディションを受けることにしたことを知らされた甘奈が、甜花に胸の内を打ち明けるシーン。自分が合格すれば千雪が傷つくし、自分が受かっても千雪は罪悪感に苛まれる。どちらにせよ、3人は今までのアルストロメリアではいられない。そのことが、甘奈にとってはたまらなく怖いのだ。
・「薄桃色〜」を経たG.R.A.D.編では、甘奈の内面がさらに深く掘り下げられた。
・個人戦であるG.R.A.D.では、甘奈はアルストロメリアの枠を離れて戦うことを要求される。それが甘奈にとっては大きなハードルだった。彼女にしかない強みを出せと言われても、どうしていいかわからないのだ。
・まわりに誰もいないときに甘奈が呟く独り言が、苦しい。
・周りからはアルストロメリアの牽引役と思われている甘奈だが、心の内には甜花や千雪に対する劣等感を抱えているのだ。これは感謝祭のころから示唆されていたことだが、変化しないことを志向する甘奈は、未来に向かって新しいことに挑戦しようとするふたりとの違いを日々痛感しているのだろう。
・この直後にプロデューサーが偶然近くを通りかかるのだが、話しかけられたときに声のトーンがぐんと明るくなる描写がありいたたまれなくなった。
・先ほどの調子から一転して、プロデューサーに会うと「語尾に☆が付いた甘奈」に変わる。
・余程のことがない限り、甘奈は自分が思い悩んでいることを相手に知られまいと明るくふるまうのだ。プロデューサーの前ではもちろん、甜花や千雪に対しても。
・甘奈は「他人が思っている甘奈像」から外れたことを人に見られるのをひどく怖がるタイプの人間なのだ。周りから見た甘奈は、明るくて優しくて、どんなこともそつなくこなす輝くアイドルだ。その枠に従ってふるまう限り、彼女は安心する。
・ところが、それは大きな問題をはらんでいる。
・甘奈がふるまおうとする「理想の甘奈」と「本当の甘奈」の乖離である。本当はどうすればいいかわからなくて困っているのに、それを言い出せない。言ったら、今まで安住してきた”甘奈のイメージ”が壊れてしまうからだ。それはたまらなく怖い。
・それを象徴するのが、海外ブランドの仕事が舞い込んだよとプロデューサーが甘奈に伝えるシーンだ。「ファッションは甘奈の得意分野でもあるし」というプロデューサーの一言に「ありがとー☆」と返した甘奈が、心の中ではこのようにつぶやく。
・このくだり、生気のない目と乾いた声に鳥肌が立ってしまった。自分が他人の前で無意識に演じる人格と実際の自分がずれていって、取り返しがつかなくなるその気持ち、すごく共感できる。
・「他人が喜ぶように作ったキャラを演じる」といえば、真っ先に思い浮かぶのは冬優子だろう。だが、甘奈と冬優子ではそのモチベーションが全く異なるものだと思う。冬優子が他人の前で「ふゆ」という人格でいるのは自分の思い描く理想のアイドル像を目指すためであり、その動機はきわめて意識的・能動的なものだ。一方、甘奈が意図せずして作り上げてしまった「他人が見る甘奈」というのは、なかば惰性でできてしまった消極的なものだ。彼女は人格を演じているとすら思っていないだろうし、それを続けるのはそれをやめたときに生じる不可逆的な関係性の変化が恐ろしいからだ。
・そんな甘奈の苦悩に気づかないほどプロデューサーはバカではない。終盤、甘奈は自分の抱えている問題をしぶしぶ打ち明ける。
・そんな甘奈に共感を示したうえで、理想の甘奈とはかけ離れた「『ちゃんとしていない甘奈』だって、きっとたくさんの人に受け入れられるはず」、と言葉をかけるプロデューサー、人格者だ……
・自分の抱えているどうしようもない悩みを打ち明けたことで、甘奈の中で何かが変わったのかもしれない。終盤で彼女が一歩前に踏み出した姿を見ることができて、とてもよかった。
・甘奈G.R.A.D.、とっても満足度が高かったんだけど、たぶんこれは甘奈の悩みに私が共感するところが大きかったからだと思う。
・この独白、自分のことを言っているのかと錯覚するくらい頷いてしまった。だからこそ、それでも前に進んでいこうとする甘奈がとてもまぶしく見える。
(ネタバレここまで)
* * * * *
・夕ご飯を食べたあと、Discordで友達と競プロの問題を解く会をした。まだ解いていなかった昔のABC-Fにアタックする。
ABC128 F - XOR Matching
・構築問題。整数$${M, K}$$が与えられるので、$${0}$$から$${2^M-1}$$までの整数がちょうど2回ずつ登場する数列で、どの$${i\;(0\leq i<2^M)}$$に対しても、数列内の2個の$${i}$$がはさむ区間のbitwise-XORがちょうど$${K}$$になるものを作れ、だそうだ。かなり苦戦したが力を合わせてACすることができた。
・競プロの構築問題によくあるパターンとして、自明にできないケースをのぞいて必ず条件を満たすものが構成できる、というのがある。今回もそうだった。
・まず、$${K\geq 2^M}$$なら明らかに不可能だ。XORによって(2進表示したときの)桁が増えることはないからである。
・実は、$${(M,K)=(1,0)}$$というコーナーケースをのぞけば、$${0\leq K<2^M}$$なら必ず解が存在する。
・$${M=2}$$の場合がもっとも簡単だ。例えば
$$
0, \; K,\; 1,\; 1\oplus K,\; K,\; 0, \;1\oplus K,\; 1
$$
とすれば確かに条件を満たしている。
・ここで少しひらめきが必要だが、$${M\geq 3}$$の場合にも$${M=2}$$のケースをもとにして条件を満たす数列を構築することができる。$${0}$$から$${2^M-1}$$までの数を4個ずつに分け、4個の数字を使ってそれぞれ上のような8個からなる数列を作れば、これらは独立なので$${M=2}$$の場合に帰着させられるのだ。
・要するに、以下の操作を繰り返していけばいい。
操作:$${0}$$から$${2^M-1}$$までの数のうち、まだ使っていない数$${x,y\;(x\neq y)}$$を任意に選び、数列の末尾に
$$
x, \; x\oplus K,\; y,\; y\oplus K,\; x\oplus K,\; x, \;y\oplus K,\; y
$$
を加える。実装上は、要素の削除ができるデータ構造を使って未使用の数を管理していき、$${x,y}$$としては最小の要素を選ぶようにすればOKだ。
・こうやって作った数列が条件を満たしていることは簡単に確かめられる。ただし偶然$${x\oplus K=y}$$となってしまった場合には上の議論が壊れるので、その際には別の$${y}$$を選びなおす。つまり、未使用の数の中から$${x\oplus K\neq y'}$$となるような$${y'}$$をとってくればよい。そのようなことは常に可能である。$${x\oplus K=y}$$となる$${y}$$は一意だからだ。
・日記を書いていたらもう深夜2時半である。さすがに寝る時間だ。おやすみなさい。
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