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“赤い羽根”はどこへ行った?

 けさ、いつものようにテレビをつけたらちょうどNHKの朝ニュースが始まった。女性アナウンサーが胸に赤い羽根を着けている。そう、10月1日は「赤い羽根共同募金」が始まる日だったのである。

 「NHKはことしも律儀に装着するのだなあ」と感心するが、そういえば民放ではついぞ見かけなくなった。スタイリストさんにしてみれば真っ赤なアクセントが胸元にデカデカと登場するのは「ノイズ」にしか見えないだろうなあ。

 子どもの頃は、この日になると募金活動が駅前で始まっていたし、学校の教室では募金箱と羽根が回ってきた記憶もある。近頃は街頭ではすっかり見かけなくなったし、学校で箱は回ってくるのかな。

 数年前あたりに「シンボルの羽根の調達が難しくなった」という話を聞いた。ネットで検索すると、なるほど調達先は中国だったのだな。

 どちらの記事も品薄の原因に言及していない。いまや羽根を毟るのは機械の作業のだろうから、その要因が大きいのだろうと推察。あるいは鳥インフルエンザの影響もあるのか。
 
 私が子どもだった昭和40年代の日本にはまだまだ目に見える貧困とそれを助け合おうという精神が顕著だったように思う。そして、箱に小銭を投入することによって、私のような子どもも“免罪符感覚”を得ていたことは確かである。

 募金という行為にケチをつける訳ではないが、表面上は見えにくくなった貧困問題がある令和の日本の姿を考えると、NHKアナウンサーがいそいそと装着しているだけでいいのか、モヤモヤする。
(23/10/1)

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