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硬質の文章で描く「太平記」の世界【感想文】「風の群像」(上)杉本苑子

サブタイトルは「小説・足利尊氏」。南北朝時代から室町あたりはキャラ立ちしていない人物が乱立していて苦手意識があり、戦前の皇国史観では足利尊氏が逆賊扱いされて楠木正成がもてはやされたことも薄ぼんやりとしか認識していなかった。本作は人名がバンバン出てくるし、何より「ほとんど古文かよ」と思うほど硬質な文章に慣れるまで時間がかかった。やっぱり最近の小説文章は流動食のように噛みごたえがないのだとも実感したが、慣れてからは小説世界にどっぷり浸かることができた。「尊氏はこんなキャラだったのかー」と驚きながら下巻へ。
(21/8/21)

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