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「良い研究準備ができている」ことを示そう[Imbackプロジェクトその5]

さて、次は「良い研究準備ができている」ことです。分野にもよるのですが、この項目で何を書けば良いか今一つわからない、という方が結構おられます。多分、研究準備といった際の期間と内容が曖昧すぎるのではないかと思います。どう捉えると良いのか、はっきりとした正解がある訳ではありませんが、私からそういった方々にお伝えしていることが2点あります。

研究準備を良くみせるには - プロジェクトとしての準備

1点目は、この時の「研究」が示すのは、その申請書で計画している内容についてのみであり、それは、どの時期・段階から始めて、どの時期・段階で終わるのかが決まっている計画(プロジェクト)である、ということです。研究者の方々が行っている研究の多くは、長年かけてやっているもので、それは大きな一塊として捉えるのが自然なものであり、どの段階で区切りがつくか事前にはわからない、というのは、実際としてその通りなのだろうと思います。ただ、研究費の申請にあたっては、プロジェクトとして扱わなければなりません。

これについて私は、「(研究を)適切な大きさに切り出してください」とよくお伝えしています。研究の大きな一塊がどのようなものか、その研究者自身でなければ、中々理解できません。さらにいえば、研究者自身でも、全体像がわからない場合も多々あるのだと思います。この状態から評価者に伝えるためには、その申請で取り扱う内容を、自身の研究でこれまでにわかっていること[1]と、この申請研究でわかる見込みのところ(現時点ではわかっていないこと)を一組のセットにして、大きな塊から切り出さなければなりません。これは、様式上では研究準備として直接書かないかもしれませんが[2]、研究準備の一番重要なステップではないかと思います。申請書を実際に書き始める前に、このステップを丁寧に行なっておくことで、ずいぶんと書きやすくなります。また、研究が進んで論文を執筆する際にも、とても有効に働くはずです[3]。

研究準備を良くみせるには - 手段を問わない

2点目は、準備の内容はその申請研究(プロジェクト)に関係があり、評価者がそのプロジェクトを成功しそうだと感じる何かであれば、なんでもあり、ということです。また、評価者によっては、この項目の充実具合から、そのプロジェクトへの申請者の熱意をみていることもあると思います[4]。

実際にデータを得られていれば、予備実験の結果として提示するのも良いです。また、論文として発表した内容から、プロジェクトと関連の深いところを抜粋するのも良いでしょう。研究体制作りも研究準備の一つと言えますし、研究分担者・協力者と関連テーマで毎月勉強会をしているといったことも書けます。材料、資料の収集状況も当然入りますし、実験系や設備なども書いて良いかと思います[5]。一方、一点目のこととあわせて、ここで自身の長年の経験を叙述するのは効果的ではありません[6]。


[1] ここを他のグループの論文などに頼ることもできますが、そうしてしまうと独創性や研究アイデアの面で、とても弱くなってしまいます。自身の論文でなくとも、自分の属するグループ、自分の属する(相当狭い)分野など、自分の(属する)立場からの視点を意識してください。

[2] 科研費の申請書でいえば、1(5)に書いても良いのですが、1(1)から1(4)まで全ての項目で少しずつ触れ、1(5)ではもっと具体的な準備について書く方が重複も少なく効果的だと思います。

[3] 私の見聞の範囲でどこまで一般化して良いかわかりませんが、例えば英米では共同研究に取り掛かる前に、その研究の内容だけでなく、関係者の範囲、調査・実験・論文等の実際の作業分担を相当議論して、それから資金を獲得し、その上で研究に着手することが多いと聞きます。そうした準備があれば、論文をどう書いて良いかわからない、ということはそうは起こらないはずです。

[4] 熱意を評価項目にしている資金制度は少ないのですが、資金の出し手も、評価者も、何かしらで確認したいところだと思います。科研費でも、最後は熱意でみる、と複数の評価経験者から伺っています。ヒアリングがあれば、その際に熱意をみようとなるのですが、基盤Cと若手は書面審査のみです。そこで研究準備の記述を充実させることで、評価者も幾分客観的に熱意を確認できると考えます。

[5] 研究の環境を整えることと研究の準備は、ほぼ同一の場合があると思います。その場合、科研費でいえば、1(5)と2(2)の両方に書けると思います。記述内容が充実しているのであれば、重複を整理するのも良いかと思いますが、評価者は様式のそれぞれの場所で、それぞれの評価項目について判断するのが自然なため、重複を厳しく考える必要はないと思います。つまり、記述内容が重複することを恐れるよりも、記入漏れを避ける方を意識するべきです。

[6] そのプロジェクトに重要な内容であれば、それは申請書に書くべきことですが、科研費であれば1(5)ではなく、1(3)に書くのが適切です。

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