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第15回 事業計画その3(事業計画書の書き方)

今回は事業計画書の作り方の私なりのポイントを、私が採択された「創業補助金」を例に書いていこうと思います。
ちなみに創業補助金とは、サラリーマンだった人が新たに起業したり、個人事業主が会社にして事業の発展を行ったりする際、その対象資格を満たし申請書(事業計画書)を精査の上、採択されると国から最大200万円の補助金が出る。というものです。補助金や助成金については毎年募集内容が変わったりしているので、現在のものは専門家や専門機関などに問い合わせてみてください。

さて私が出した平成24年度創業補助金の事業計画書では、1枚目(様式1)にまず
・事業テーマ名
・事業計画の骨子
を書きます。事業テーマ名は、そのまま計画書の名前のこと。今から行う事業(企業活動)はどんなものなのか?を30文字以内で書きましょう。なるべくパッと、このことについて書いているんだなとわかる方がいいと思います。
事業計画の骨子は、上のテーマの中身を要約(もう少しだけ分解してポイントを明確化)したことを書きます。
次は応募書の概要を書く用紙があります。ここではざっくりいうと、この計画書を提出するのは「どのような経歴を持っているどこの何者」ですよ。という履歴書のようなものです。特に頭を使うところではありませんので、とにかく項目を埋めていきます。
そしていよいよ中身。まず
・事業の内容(について具体的に書きなさい)という指定があります。ここで記入するのは
「何を、どのように販売するのか?」(事業概要)(販路・販売戦略)
「収益性は?」(その事業は現実的か)が主な内容になります。行おうとしている事業が論理的に成り立っていることが重要になってくると思います。
次に私が提出したときにはここに
・製品、サービスの独創性
・市場の特性、市場規模
も記入する項目がありました。つまりここでは主に「お客様はいるの?」「いるならどのくらいなの?」「その数や単価で事業は成り立つ?」「本当にお客様は来るの?」「ライバルとの競争に勝てるの?」などという問いに対し、合理的に俯瞰的に答えなくてはいけません。
そして次の項目には、
・創業する動機、きっかけ及び将来の展望
とあります。ここは創業する人間が、「真剣に・計画的に・継続的に」事業を行おうとしているかを見られる箇所です。個人的な感想ですが、創業や経営は勢いだけではおそらくうまくいきません。もちろん情熱はとても大切な要素ですが、その熱が継続できるという根拠や、一方で冷静に戦略を練ることができるということを伝えることが求められると思います。
次に書くのは
・スケジュール(採択後3年間に取り組む事業内容と実施時期)
・売上、利益等の計画
です。「じゃあ具体的にいつどんな行動をいつするか教えて。」「毎年どのくらいの売上や原価があって、結局利益はどのくらいで考えてるの?」という問いに答えていく箇所です。ここでは現実的な行動や収益を、計画的に合理的に考えられているかを見られている気がします。
そして
・創業する事業の知識、経験、人脈、熱意
とあります。この計画書を提出する人間が、「現実的に事業を成功に導けるだけの根拠のある人間なのか?」を説明しなくてはいけません。あくまで個人的な意見ですが、この部分は採択側の確率論のような気がします。補助金の元は税金です。税金を投入するのにいくら論理的に事業計画書が作られていたとしても、国民から理解を得られにくい経歴の持ち主ではリスクがあるという事情があるのではないかと思います。その事業の直接的な経験がなくてもうまくいく人はいます。しかしそこは理解の上で応募するしかないと思います。
・資金計画
何にいくらかかって、どんな風にその資金を調達するのかを書いていきます。この創業補助金は後払いです。まずは自分の力でお金を調達しましょう。銀行や公庫から借りる予定の人は前回の経営革新計画を取っていると良いかもしれませんね。事業計画書の作り方のトレーニングにもなりますし、補助金があるから事業を始めようという安易な流れにもならなくて済むと思います。
このあとは
・5年間(現在は6年になっているみたいです)の事業の計画
・売上&利益等の計画
を書いていく部分があります。1年後や2年後は想像できても、5年後なんて難しいかもしれませんね。ここは自分が思い描く未来予想で良いと思いますが、あくまで実現可能な売上であり、それを達成させるためにどんな行動をすれば良いのかを明確にすることが、補助金のためでなく自分自身のためになる事を意識すると良いと思います。

以上、簡単に創業補助金を例に事業計画書の作り方について書いてきましたが、一番のポイントは
「文字と数字だけの書類で、相手を論理的に説得しなければならない」
ということだと思います。話せばきっとわかってもらえるのに!というのが残念ながら通用しないのがこの計画書や銀行融資の世界。しかも相手はこちらを理解しようとしてくれないという前提で、読めば興味の無い人でもわかるようにすることが求められます。チャレンジされる方はぜひ一度自力で頑張ってみてください。
※あくまで今回の書き方や解釈は私のやり方です。実際には専門家に聞いてください。
平成29年度創業補助金のサイト

(あとがき)
助成金や補助金と聞くと嫌悪感を抱く方も中にはいるようですが、私は助成金や補助金を国による民間への投資と解釈しています。つまり、見込みのある事業や起業家に対し、一番舵取りが難しいスタートアップ時のサポートをすることで、将来その企業がもたらす税金や雇用などによってその金額以上の利益を国が得る。といったことです。実際、私はこの補助金のおかげで会社は今のところ順調に推移し、4年で9人という雇用を生み出すことができました。絶対に国には補助金以上のお金を返そうと思っています。

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笠原徹|地方でクリエイティブな仕事をする|ハレノヒ
株式会社ハレノヒ代表取締役/2015年、築100年の古民家をリノベーションした写真館をオープン。地方写真館の再定義を行うことによって人とまちが豊かになる仕組みをつくろうとしています。その他セミナー講師や各種メディアにも出ています。