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第7回 初めてのプレゼンテーション(個性が大事?)

提出期限最終日ギリギリでエントリーシートを提出した私ですが、その当時のものが残っていました。

見てみると、この時の「思い」が今も変わっていないだけでなく、実行に移すことができていることが嬉しいです。

さて一次審査である書類選考を突破し、次に待ち構えている関門は二次審査であるプレゼンテーションです。用意された時間は15分。プレゼンテーションなど、話には聞いたことがありますが生まれてこのかたしたことがありません。
『うーむ、何を話せば良いのだろう?』
何もわからない私は、結局「自分が何者で、この場所でどんな思いを持って何を達成したいのか?また自分がこのプロジェクトに参加すればどうなるのか?」を書くことにしました。
これも当時のものが残っていました。題名には「事業計画書」と書かれていますが、今見ると完全に「思い」だけのただの提案書です。

私がこの時審査側で、この書類だけを見ていたらきっと落としていたに違いありません。

こんな未熟な計画書を作成し当日を迎えました。名前を呼ばれ市役所の一室に入ると、全部で6~7人の方が座っています。
「時間は15分間です。5分前と1分前、30秒前にボードで時間をお知らせいたしますので、15分を過ぎたら途中でもプレゼンテーションは終了してください。ではお願いします。」と言われ、すぐに私の生まれて初めてのプレゼンテーションがスタートしました。
「初めまして。笠原徹と申します……」

上記のようなシナリオのカンペを事前に作っていた私は、その通りの流れでプレゼンを行っていきました。
時間は進み、残り1分、そして30秒前の合図……そして「以上です。ありがとうございました!」
まさに奇跡です。前日に一度しかリハーサルを行っていなかったのにもかかわらず、おそらく私のプレゼンは14分57秒くらいでバシッと終わりました。その時、なんとも言えない快感があったのを覚えています。(笑)
それで気分が良くなったのか、その後の質疑応答では、審査員である仕掛け人の建築家さんや、まちづくりで有名な人たちと(そんなすごい方達だったとは後から知ったのですが)楽しく話をすることができました。が、挙げ句の果てには、「もう終わりにして、みんなで飲みに行きましょうよ」などと言い、逆に調子に乗りすぎてイタい状態のまま初めてのプレゼンを終えました。

『まあ、この応募自体がダメ元だったし仕方がない......』そう完全に諦めていたのですが、後日なんと活用者として合格との知らせが届きました。
なぜ技術も実績も財務も乏しい私が合格したのでしょうか?選考に携わった建築家さんに伺ったところ、求めていた人材が「周りと協調できる人であり、面白そうな人」ということで、もうこれは完全にラッキーだったといえるでしょう。
ただ客観的に見ると
・時間ピッタリにプレゼンが終わったこと
・理念やサービス内容が明確だったこと
・飲みに行きましょう!と発言するほど相手に対し物怖じしなかったこと
が結果として良い印象を与えたのではないかと考えています。
このように私の場合は、たまたま自分のキャラクターと審査員の求める人材が一致したといえます。

では今回のまとめです。
あなたがもし事業を起こした場合、おそらくプレゼンテーションというものを行う場面がやってきます。そこで私が考えるプレゼンテーションにおける大事なポイントは、
①決められた時間を守る
オーバーするのは完全にNGです。決められたことを守れない人間だと判断されますし、オーバーは許されないことも多いため、伝えたいことを伝えられずに終わってしまいます。しっかりと理解してもらいたいがために「少ない時間では全てを伝えられない」と不満を言う人もいますが、審査側には良さを端的にまとめられない能力の低い人間との印象を与えます。また時間に制限のないプレゼンテーションであったとしてもダラダラするのは良くありません。聞き手がストレスにならない程度の時間を設定し、スタート前に予告して行うのが良いかと思います。逆に時間を使い切らないのもNG。与えられた時間を十分に使ってできる限りのことを伝えるべきです。

②表情を豊かにしっかりとした口調で誠実に話す
あなたが審査員でプレゼンテーターが無表情で何を話しているかわからないくらいの小さな声だったり、おどおどしていたらどう思うでしょうか?表情だけでなく声のトーンや口調は重要な要素です。高慢な態度も当然NG。自分がワクワクしながら話せば、きっと相手にも伝わると思います。

③行うことを明確に
根本的なことですが、「何を達成したいのか」「そのために何をするのか」を明確にそして具体的にしましょう。ふわっとした話では人は理解することができません。

④根拠とメリットを示す
何をするのかが明確でも、それが実現できる根拠と相手にとっての何かしらのメリットがなくてはいけません。私のこの時のプレゼンテーションでは自分の思いが中心で、根拠が薄い内容でしたが、実際のビジネスの世界では実績が命です。自分の「やりたいやりたい」だけでは他人は動きません。
事業計画の作り方については別の回で書こうと思っています。

上記のようないくつか大事と思われるポイントを挙げていきましたが、例えば資料の作り方を含め、この他にもたくさんあるでしょう。その資料作成については、天狼院書店さんから教わって今私が読んでいるこちらの本をご紹介しておきますね。素晴らしい本ですのできっと参考になると思います。
図解-見せれば即決-資料作成術-3秒で決まるプレゼン資料-ビジネス資料はここが違う-天野-暢子

最後に、今回のブログで私が伝えたい最も重要な点について。
それは、プレゼンテーションは人間同士のコミュニケーションであり、結局は人が評価するということです。
そして「話す」と「(自分を)見てもらえる」いう手段が使えるという特徴も見逃せません。私は人と会った時、まず見た目や声、動きなど、直感で判断します。「魅力的か?」「普通か?」
あまりありませんが、生理的に受け付けないこともあります。それからその人の話を聞いたり行動を見て、最初の印象から変わったり、自分や目的にとって「プラスに作用するのか?」「信頼できるのか?」などを考えます。
しかし、メリットや信頼というものは意外と自分の感情によって左右されるので、感覚や感情の部分はかなり重要だと考えています。直感的に好意の持てる人間であれば、いろいろと良くしていきたいと思うのが人というものです。好かれ方はそれぞれの個性であり相手との相性も大きく影響します。その自分なりの「好かれ方式」を持つことができれば、きっと最大の武器になる思いますので、意識しておいて損はないはずです。
ということで、プレゼンテーションは企画の中身だけでなく、総合的なその人の魅力・個性が評価される場であると言えるでしょう。しかし評価するのが人である以上、好き嫌いやしがらみなどの人間関係も関係すると思われるので、中身がよくても通るとは限らないという点ではモヤモヤも多い分野であることは間違いありません。

(あとがき)
「人間は見た目より中身だ!」と考える人は多いでしょう。ビジネスの世界でも実際、プロダクトのクオリティーは絶対的に必要です。
しかしそれが初見の場合、良くも悪くも見た目は大きく影響すると思います。(ちなみに私は、「自分の見た目」つまり顔、体型、ファッションなどは自分の「パッケージデザイン」と考えています。)
例えば初めて入ったお店で情報のないものを購入するとき、私はデザインで気になったものに目がいきます。逆にデザインが良くないものやありきたりなものは、中身を知ろうともしないことが多いです。このことは人と人の接点でも言えることではないでしょうか。一方、良さを知ってもらった後や、先に情報があれば見た目はそれほど重要ではありません。むしろ中身が素晴らしいとの認識後は、見た目の奇抜さや平凡さはギャップとして価値を上げる可能性もありますし、高等テクニックとして初めの見た目をあえて地味にしておいて、実はめっちゃすごい。なんて方法もあるでしょう。(もちろん話しや行動で「すごい」と認識してもらわなければいけませんが)
視覚も重要なコミュニケーション手段です。もし、あなたがどうしても達成したい目標に対するプレゼンテーションを初めて会う人に対し行うのであれば、見た目の作戦もしっかりと考えてみてはいかがでしょうか?
なんだか今回のプレゼンの話って、恋愛話にも似てますね。中身だけでも見た目だけでも駄目。相手の好みや状況によっても結果が変わる......なかなか悩ましいものですね。(笑)

株式会社ハレノヒ代表取締役/2015年、築100年の古民家をリノベーションした写真館をオープン。地方写真館の再定義を行うことによって人とまちが豊かになる仕組みをつくろうとしています。その他セミナー講師や各種メディアにも出ています。