遺影

私は訪問リハビリテーションのお仕事をしています。対象の方のお家や施設に行き、心身機能の維持改善、日常生活を送るために必要な機能回復や環境調整を主に行うお仕事です(^^)

何年か前にお世話になった方とのお話です。

70歳代女性。白血病を患い、治療の末退院できてご自宅に戻ってこられた方でした。

『私、今の元気な姿で遺影の写真をとって欲しいの』と話してくれました。

息子さんにそんな話しをしたら怒られてしまった、と少し悲しそうでした。

いつの日か必ず来るその日に、葬儀に来てくれる人達に、良い写真であいさつをしたい。はっきりとした言葉で話してくれました。

自前のカメラで撮ったものでいいなら、とお返事すると普段しないお化粧の練習をしたり、思い入れのあるお洋服を着て“映え”を気にしたりととても生き生きしていました。

お写真も何ポーズかとり、どれにしようかな、と悩んでいました。

とても貴重な時間を過ごせたなと思いました。他人の死を考えた時間を共にして、生き生きした瞬間に居合わせた気がしました。人は死を意識するとこんなにも生き生きするのかと、なんとも言えない気持ちになりました。

その他にも人を生き生きさせるものはたくさんあると思います。

けれども私が『死』について少しだけ考えるきっかけになった出来事でした。

私は70歳くらいで引き取りたいなぁ。

遺影ってなしは出来ないのかなぁ。

写真に写るの苦手なんです。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?