絶望と希望のアースデイ2022

今日はめったにしない真面目な話を。
4/22はアースデイということで、作業しながらアースデイ気候会議を見ていました。
日々、エネルギーと気候変動の問題に仕事を通して関わっていますが、正直なところ、将来の環境に関しては絶望感しかないと、学べば学ぶほど感じます。

出所:IPCC 第6次報告書 第3作業部会 報告書 政策決定者向け要約 解説資料

気候変動を考える上で、1つの基準になっているのは産業革命以前と比べて世界の平均気温が1.5℃上昇する、というポイント。
1.5℃上昇を超えると気候変動が自然環境に対して不可逆で(回復、復元できない)大きな影響を与えると考えられていて(実際には1.5℃に明確な線が引けるわけではなく、地域によって影響も違いますが)、すでに国際的に「気温上昇を1.5℃に抑制することを目指す」ことは合意されています。
そのために世界中の国々が、2030年ないしその先の温室効果ガス(GHG、気温上昇の原因になる気体=ガス、二酸化炭素やメタンなど)の排出削減目標(NDC)を立てて公表しています。
ところが世界中のNDCを足し合わせても気温上昇を1.5℃に抑えるには足りません、というのが上の左側の図です。

1.5℃上昇、2℃上昇に対応する排出量の推移(経路)がそれぞれ青線・水色帯、緑線・薄緑帯で示されていて、紺線・薄紺帯で示されているのが目標を積み上げたもの(2030年まで)です。
1.5℃上昇、2℃上昇の線・帯が、目標を示す線・帯よりもかなり下にあります。
世界中の国々が現在掲げている目標だけでは、1.5℃上昇はおろか2℃上昇すらも達成できそうもありません。

IPCCをはじめ科学のコミュニティは警鐘を鳴らし続けてきましたが、実はこの状況はここ数十年に渡ってずっと変わっていません。
ただ、1.5℃上昇までのタイムリミットだけが近づいてきています。

特に日本では、気候変動による影響もあって台風や大雨による災害が増えているにも関わらず、気候変動の問題への関心がとても薄く、国全体の政策や計画のレベルがずっと低いままになっています。
2011年の東日本大震災を経ても、状況はあまり変わりませんでした。
ロシアによるウクライナ侵攻があっても、脱化石燃料に向けた社会的な動きが日本ではそれほど大きくなっていないように思えます。
こうした諸々が絶望の源。

一方で、日本の中にも気候変動の問題に関心を持って、まわりの人を巻き込んで様々な活動をしている方がいらっしゃいます。
普段、あまりそうした活動に触れる機会がないので、アースデイのようなイベントで国内での活動の状況を知ると、少しだけ希望を感じる、という話でした。

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