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「わからない」に遭遇したとき

仕事をしていると、「わからない」ことが出てくる。
特に入社して日が浅い場合など。

初めての自己紹介で

わからないことだらけですが、よろしくお願いします

って言う人が必ずいる。新人だからそりゃそうだよね、って思う一方で、これは、私がわからないことがあって何か聞いたとしても怒らないでください、言いましたよっていう自己防衛なのかもしれない、って思う。ちなみにこれってなんの「自己」も「紹介」してない気がするんだけど、自己紹介の話はまた別で。

仕事を始めて少し時間がたつと今度は

覚えることだらけで、キャパオーバーです

という人も出てくる。

覚えるべきこと、はそんなにない

学生の頃、数々の試験において、暗記することが重要視されていた。だから、理解より、覚える。考えるより、覚える。つまり、考えない、ことが癖づいてしまう。

仕事をしていくうえで、情報には大きく二種類ある。

①「正解」が決まっているもの
②(人や状況など)場合により「最適解」が変わるもの

新人研修を担当していて、その膨大な情報量に、教える側でさえ、こりゃインプットしきれないな、と思うわけですが、実は暗記=覚えることって、そんなにない。

わからなかったら聞けばいい、は間違い!?

①「正解」が決まっているもの
営業の仕事でいえば、商品のスペック、金額、ルールとか。これらは、覚える必要がないわけです。

なぜか?

どこかに正解が必ず書いてあるから。

ちなみに、暗記はしなくて良いが、「正解があること」と「どこにあるか」を知っておく必要はある。

でも、これは、一度聞いた後は人に質問してはいけないこと、くらいに自覚しておいた方がいい。「前にも言ったよね」「研修でやったでしょ」と、何度も聞かれてイラッとする項目ベスト3に入る。
(※教える側は、ここにある、ということをきちんと可視化し、自分で情報を取りに行ってもらう)

上に書いたように、全部覚えるのは無理、なので、言われたかもしれないが覚えてないわ!と逆ギレしちゃう人がたまにいるけど、

②(人や状況など)場合により「最適解」が変わるもの例えば、○○に何を提案すべき?とか、○○の理由って何?とかを考えるとき。そして、コミュニケーションの取り方とか、資料の作り方も。「最適解」と書いたけれど、文字通り「正解」はなく「唯一解」もない場合が多い。

最初こそ、思考のヒントとなる経験や事例がないから、人にアドバイスやヒントを求めてもいいのだけど、何度も、ずっとここを求め続けると、「自分で考えなよ」と思われる確率が高い。そして、実はこの②も、既に先人の知恵が蓄積されている組織もあるはずだ。(わたしがいたところは、幸いにもそうだった)

あえて覚えるべきこと、があるとするなら、ふたつで

この情報は①なのか②なのかを考えること
この時こんな質問されたなとか、こんな知識が求められるんだなとか、自分と他者の経験や事例を、整理して言葉にする必要がある、ということかも。

答え、を覚える必要は、ない、と言ってもいい。

例えば②に長けている人(経験を汎用化するのが得意など)の場合、似たような営業プロセス経験があれば、商品のことを詳しく暗記していなくても、売れることがある。わたしも、1年通った訪問先に、異動してきたばかりのマネージャーに同行してもらったら、商談が動いたことがある。

「わからないから聞いているのに」

①を聞けば「前に言ったよね」
②を聞けば「自分で考えなよ」
と言われて正直詰んでます。じゃあどうすれば!

という人が、いる。気持ちはわかる

自分が答えを求めたいことは①なのか②なのか。
①ならば、どこかに答えがあるはずだし、一度は教わっていることが多い。ので、繰り返すが①の質問は一度だけならOK、と自覚しておくことが大事だ。

もし、①なのに答えがどこにも取りに行けない場合は、ブチギレせずに、会社や組織や教える側に、そっと伝えよう。そして、次に来る新人のために、整理してあげたら喜ばれる。間違っても、「私もそれ知らなかったけど、ホントどこにもないんだよね」と未来の新人を切り捨てる先輩に、ならないように。

②はもうその通りで「自分ならこう考える」というのは、仕事では当たり前に求められることだ。

言われたことしかやらない、言われてないからやらない、という人と、一緒に仕事したいと思うか?

自分に置き換えて考えてみたらいいのでは。 

「なんで質問しないの?」

と聞かれることも、ままある。これはもはや、聞かれてるのではなくわからないなら質問しろよ!と同義だ。

「前に言ったよね」「自分で考えなよ」と言われたからです、と思った人は、そのシチュエーションをもう一度思い出して欲しい。

・わかったフリをしている
・わからないまま放置している
いずれも、結果として誰かに迷惑をかけている

ほとんどが、このパターンではなかったか。
仕事をしていて、「何かが停止している」ということはほぼないと思った方がいい。止まっているのは、誰かが止めているからだ。

特に、クライアントに対して、何かを止めているのが自分であるならば、「前に言ったよね」「自分で考えなよ」を覚悟のうえで、聞いて、次に進もう。

新人とそれ以外の情報格差をなくしたい

新人なのでおぼつかない、という若葉マークが必要とされるのは、車道だけ。人の命がかかっているから。

仕事において、新人なのでわかりません、は自己防衛だ。(企業としても、個人としても)

それをなるべくなくすには、本人たちの努力や理解もいるけど、提供する側の心掛けがマストだ。

2年目なら知っているけど新人が知らない、という情報を、なるべく無くす。特に①では「後出しジャンケン」や「バージョン違い」とかが起きやすいので要注意。定期的なアップデートが大事だ。

また、②においても、先人(既に稼働している人)の経験や知恵を、暗黙知ではなく形式知にして、手の届くところに公開すること。個人でインセンティブが出る企業であっても、長い目で見たら全体が底上げされたほうががいいわけで、属人的な暗黙知に留めておくメリットはない。

ここまで情報を揃えて初めて、個としての工夫や強みが発揮されてくる、と思うのだ。

「わたしも教わってない」の連鎖をそっと断ち切ろう

でも、まだまだそこまで追いついていない組織だって、たくさんある。それを、気付けるのも新人の特権だ。

先輩から聞いた「わたしも教わってないから」を永遠連鎖させないように、でも、先輩たちの心の痛みもちょっぴり理解しながら、未来の新人と、自分の情報格差がないように、ひと工夫できたらいいな、と思う。



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