声に出して読みたい日本語

 ゲームマーケットという大きなイベントが催され、たくさんの同人ゲームが発表され、海外ゲームの日本語版も数多く発売されるようになりましたね。本当にこの10年くらいで日本のアナログゲームの受け入れられ方が大きく変わったように思います。
 ゲームそのものも相互に影響しあいながら進化を重ね、話題作も年に何作も登場し、よりどりみどりです。
 美麗で豪華なコンポーネント。素敵ですよね。
 様々な戦略を試みることができるゲームシステム。ワクワクしますよね。
 ……だけど、初心者にお勧めできるゲームを選んで、となるととても悩ましい。わたしがピックアップするなら、「目的が明確であること」「ルールの説明が10分以内に収まる」「長考が生じにくいもの」の3つを備えたものにします。

 「はぁって言うゲーム」はかなりいいと思うのですが、たくさんの人が挙げそうなので、わたしは「クク(CUCCO)」を推すことにいたします。これをベースにした、すごろくやさんの「クク21」の方が入手が容易でしょうが、あえてのクク。

 ククカードは20種類各2枚の合計40枚が1セット。色々遊び方はありますが、大好きな「クク(カンビオ)」を取り上げます。必要となるのはククカードとチップ(一人あたり15枚くらいがちょうどよいと思います)。プレイヤーは5人以上がお勧め。
 ゲームの目的は、チップを最も多く獲得すること。シンプルですね。
 そして、プレイヤーが判断するのはカードを交換するか否かのみ。これで本当に面白いのか? と、不安になってくるようなシンプルさ。

 もう少し、ゲームに踏み込んでみましょう。用語はグランペール版のククカードに準じます(現在ならアークライトゲームズ版が入手容易で、おそらく用語も同じかと思います)。
 まず、ゲームの参加費として全員が1チップをポットに入れます。親は右隣の人から順に反時計回りにカードを1枚ずつ配ります(つまり、親は最後に自分のカードを受け取ります)。親の開始の宣言(「始めて下さい」とか「どうぞ」とか)したのち、親の右隣のプレイヤーから交換するか否かを宣言し、交換する場合はさらに右隣のプレイヤーとカードを交換します(カードによっては交換が成立しない場合もあります)。
 反時計回りに交換をしたりしなかったりしていき、最後に親が山札と交換するか否かを宣言し(するなら山札からカードを引く)、全員が手番を終了したら、全員が手札を公開します。失格になっていないプレイヤーの中で最も弱いカードを持つプレイヤーが敗者となります。カードを配り、手番を行い、手札を公開して敗者を決定するまでをディールと言います。
 第2ディールから第4ディールまではディール開始時に前のディールで失格したり敗者となったプレイヤーがポットにチップを入れることで復活できますが、第5ディール以降は復活できず、一人が勝ち残るまでディールを繰り返します。
 勝ち残ったプレイヤーはポットに入っているチップを総取りします。第1ディールから誰かが一人残ってチップを総取りするまでをセットと言います。

 ゲームを面白くするポイントとして3つあると思います。まずはカード。
 先に述べた通りカードは20種類2枚ずつ。それぞれのカードは最弱の道化から最強のククまで、順番に強さがつけられています。そして、6種類のカードは特殊能力を持ちます。特殊能力は5種類。

  • クク:宣言することでディールを強制終了し、手札公開に移行する

  • 人間:交換を持ちかけたプレイヤーを失格にする

  • 馬:交換を持ちかけられた場合、自身は交換せず、さらに右のプレイヤーと交換させる(スキップ)

  • 道化:そのカードを渡した人を失格にする

  • 猫:交換を持ちかけた人が持つカードの最初の持ち主(そのディールのカード配布時にそのカードを持っていた人)を失格にする

 この特殊能力は親が交換のために山札からカードを引いた時に若干異なる挙動をしますが、話を簡単にするため割愛。
 これらの特殊能力を持つカードには文言が添えられており、例えば人間の場合、「私に挑む者は全て滅びる」など、声に出して読みたくなります(実際、読んだ方が盛り上がる気がします)。
 この特殊能力が悲喜劇を生み出します。強いカードを持っていたのに失格になったり、交換で最弱を避けられたと思ったら猫で失格させられたり、道化を交換して相手を失格にしようとしたら相手も道化を持ってたり……などなど。

 残りの2つのポイントは、負け抜けのゲームであることと、山札を使い切ってから捨て札をシャッフルして新たな山札をつくること。
 これによってただの運ゲームではなく、強くないカードを配られても、出てないカードからあえて交換しないという判断ができたりします。

 誰かがチップを払えなくなった(チップがなくなったら、ではない)セットが終了したところでゲームは終了。最もチップを持つプレイヤーが勝利します。

 「どうしていいかわからない」が発生しないこと。「経験者には負けてしまう」が発生しにくいこと、失格になっても興味を持って見ていられるところ、1ディールが短くてテンポのよいところが初心者を交えて遊ぶのによい点だと思います。

付記:これを書くのに調べ直したのですが、わたくし猫の特殊能力を間違えてプレイしておりました。交換を持ちかけた人と、カードを元々持っていた人の両方が失格になる、と。でも、両者失格の方が盛り上がると思うんよね……

#ゲーム初心者におすすめ #アナログゲーム

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