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Code for Japan 7周年を迎えてのモードチェンジ

先ほど、Civictech Challenge Cup under 22 (以下CCCu22)という、22歳以下に特化したシビックテックのコンテストが終わりました。
実は本日10月25日は一般社団法人コード・フォー・ジャパンが法人化してから7年目の節目でした。毎年特にイベントとかはやらないし、普通に過ぎていくんですが、今年はたまたまイベントと重なった形です。

CCCu22は、Code for Japan のインターンが、コロナ禍で活動が制限されてしまった学生のために活躍の場を作りたいという思いで発案したイベントです。企画、運営、スポンサー集め、参加者集め等々、全てインターンを中心に実施してきた、学生の、学生による、学生のためのアワードです。

22歳以下の参加者が、約3ヶ月半にわたり開発してきた社会課題解決プロジェクトの成果発表会だったわけですが、発表された作品は、以下のようなものでした。

・インスタ風な写真で地域のPRができる、素晴らしいUIを持ったサイト
・子供が水をどれくらい飲んだかを把握して熱中症を防ぐための、水筒に簡単につけられるIoTデバイス
・GTFS-RT(公共交通のリアルタイム位置情報配信データ)をJSONで配信し、使いにくさを改善することでより多くの開発者が交通情報にアクセスできるAPI
・バズっているツイートがデマっぽいかどうかをAIで判定して教えてくれるTwitter Bot
・二酸化炭素濃度を測定するデバイスを使い、その場の密具合を測定して送信できるシステム
・Google Streetview の画像を機械学習し、海の見える景色を優先して案内してくれる、ドライブルート検索サービス
・カメラを使って手話の指文字を判定、学習を効率化するウェブサービス
・ADHDの傾向を持つ開発者が、自分と身近な人がより良く意思疎通できるように作った、メモ共有アプリ
・地方自治体が災害ボランティアを簡単に募集・管理でき、ボランティアも応募ができるウェブサービス
・自治体の助成金や奨学金制度などをレコメンドしてくれるLINE Bot

どれをとっても完成度が高く、ちゃんとサービスとして動いているのがすごかったです。デモレベルを超えているものもいくつかありました。機械学習やセンサーなんかも使い技術的にも高度で、更にプレゼンも素晴らしくお世辞抜きに驚かされました。いわゆるビジネスコンテストとかとは違い、動くものがあるのがやはり楽しいですね。
Youtubeにアーカイブが上がっているので、ご興味ある方は是非ご覧ください。


先週末に開催した Code for Japan Summit でもそうでしたが、今年に入ってから学生達の勢いが本当に凄くて、嬉しい限りです。

彼らは、日々楽しそうに開発をしています。Slack でのコミュニケーション力も高く、年齢を聞かなければまだ学生だということに気づかないくらいです。(実際、本当にそういう事が何度かありました。)
政治や社会に対する偏見も少なく、実に真っ直ぐです。

ハーバード大学ケネディ行政大学院の行動経済学者、イリス・ボネット教授が書いた「WORK DESIGN(ワークデザイン)」という本で、採用面談のときにブラインド面接をする事でバイアスが無くなり女性や移民の採用率が上がる、という事例が紹介されています。同じような効果をオンラインのやり取りでも感じていて、リアルなイベントよりもバイアス無くフラットにやりとりができています。

また、今日もそうでしたが北海道から沖縄まで、さまざまな所から参加できる点でも、シビックテックに参加したい人が活躍できる余地が増えてきています。

7年前にCode for Japanを始めた時は、こんな景色が観れるとは思っても見ませんでした。また、3年前くらいはまだ、若い人たちに参加してもらうにはどうしたら良いのだろうかというのが組織の課題でした。

そして、ようやく若者の参加が増えてきた今思うのは、これからは若い世代のための場所をしっかり作ることが私に課された使命なのだということです。社会のために自分のスキルを活かすことが、「意識高い系」などと揶揄されずに、楽しい活動としてあたりまえにできること。「ともに考え、ともにつくる」フラットな関係があたりまえであること。そういったことのために良い実例をたくさん作って、早めに次世代に席を譲ること。それを強く意識しています。

日本のシビックテックの多様性は一気に拡大しました。新型コロナウイルスというきっかけが大きかったかもしれませんが、活躍の場所を探してやってきた新しい人達が、壁を感じずに楽しく活動できる場を作ってきてくれたコミュニティメンバーに本当に感謝です。

私はオードリー・タンさんのような天才ではありませんが、今参加してきている若者達の中には、未来のオードリー・タンがいるかもしれません。歴史はつながっているのです。

これからも楽しくやっていきましょう。

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