「幸福」を手に入れるのではなく「不幸」を避けるほうが簡単だ。

4月から新年度を迎えるにあたって、どの組織も個人でも、目標設定とそれに対する取り組みを考えているのではないだろうか。

さて、このタイミングで
「来年度はなにやるの?」という問いかけはされても、
「来年度はなにやらないの?もしくは「なにをやめるの?」
という問いかけをされた人は何人いるだろうか?

よく「戦略とは、戦うことを省略することである」とか、「経営とは限られたリソースをどこに投下するか決めること」というような言葉をきくが、職場での現実は常に「なにか新たにやること」を求められる。

「しない」「やめる」という言葉は、なんだか楽な道を選択しているように見えるからなのか、なかなか自信をもって宣言しづらい。周囲が高い目標掲げてるのに、自分だけ小さな目標を掲げるわけにはいかないよな、という勝手な忖度が働いてしまうのだろうか。

まあ、会社の目標設定について、必死になって戦ってもあまりメリットはないので、そこはなるべく波風立たないようにうまく切り抜けるしかないが、プライベートでは、この「しない」「やめる」という考えを実行するのはたやすいはずだ。

そこで、「否定の道」という考え方を共有しよう。

本書はこんな「はじめに」ではじまる。

ローマ教皇がミケランジェロに尋ねた。
「あなたの才能の秘密を教えていただけないでしょうか? あなたはどのようにしてダビデ像をつくり上げたのですか?この傑作中の傑作を?」
ミケランジェロはこう答えた。
「とても簡単です。ダビデではないものを、すべて排除したのです」

 よりクリアな思考をし、より賢く行動するには、ミケランジェロの言葉を思い出そう。ダビデに意識を集中させるのではなく、ダビデでないものに集中して、それを排除すればいいのである。

このように、否定し、あきらめ、省略し、制限するための考え方を中世の思想家は「否定の道」と名づけたという。

「何が成功をもたらすかは言いあらわせない。だが、何が成功を妨げたり、台なしにしたりするかははっきりと言える」ということだ。それだけを知っていれば十分なのである。

職場において、この「否定の道」的な考え方を発言すると、みんな「そうだよね、ウチは詰め込みすぎて、やることが多くて、リソースが分散しちゃうんだよね」と同意はするのだが、現実は真逆に進む。

でも、ビジネスハウツー本や成功者の自伝では、まさに「否定の道」そのものを実行して成功している例をたくさん目にする。

そんな事例のなかで、ぼくの座右の銘となっているのは投資家、ウォーレン・バフェット氏の言葉です。この言い草がたまらなく好きです。

簡単なことをやれ、ということです。
業種が多岐に渡るビジネスの取得、および管理を25年間おこなってきましたが、
チャーリー(相棒)も私も難しい状態にあるビジネスを立て直す方法を学ぶことはできませんでした。代わりに、そういうビジネスは避けるべきであるということを学びました。
私たちはある程度の成功を収めることができましたが、それは飛び越えられるであろう“30センチのハードル”を探すことに精を傾けたからであり、“2メートルのハードル”をクリアできる能力があったということではないのです。
“30センチのハードル”を探すのはフェアではないと思われるかもしれませんが、ビジネスでも、投資でも、問題解決に取り組むよりはじめから対象を単純明快なものに絞った方が、通常はるかに高い利益をあげられるものです。

みなさんも会社でこのバフェットの言葉を共有してみてください。みんな、深くうなづくと思います。

でも、組織においてはきっと実行はされませんので、まずはプライベートでこの考え方を取り入れてみるとよいかと思います。

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