『スノーホワイト』

【ネタバラシは多分ありません。】

『スノーホワイト』

著者:森川智喜

出版社:講談社(講談社文庫)

発行年:2014年11月14日

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 本書は、2013年2月に刊行した『スノーホワイト 名探偵三途川理と少女の鏡は千の眼を持つ』(講談社BOX)が文庫化されたものです。第14回本格ミステリ大賞受賞作でもあります。

 再読です。初めて三途川理という名探偵を知ったとき、もし新しく『名探偵ベスト101』を出すとしたら、この興味深い名探偵ははずせないよなあ、と思ったものです。

 それはされおき、彼が登場するミステリは、特殊な世界や特殊な道具が出てきて、それをもとに様々な事件が展開します。こういう特殊設定もののミステリは、読者に対して漏れなく「設定」を提示しないと、アンフェアにつながってしまうので、それを飽きさせずに世界に馴染ませていくのが難しいところだと考えます。本書はその提示をうまくストーリーに絡ませて、読者に伝えているので、うまいなあと思いました。

 今回は、「真実を映し出す鏡」を中心に、物語が進んでいきます。白雪姫で出てくる「鏡」をガシェットとして最大限に活用している手腕は見事です。ここまで使い倒すか! と終盤は何度も唸ってしまいました。


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