『つくし世代 「新しい若者」の価値観を読む』

『つくし世代 「新しい若者」の価値観を読む』

著者:藤本耕平

出版社:光文社 (光文社新書)

発行年:2015年3月20日

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 20代の頃に買ったいわゆる「若者論」に関する新書を、30歳になって読んでみます。【その2】です。本書は再読になります。「つくし」というのは、ざっくり言うと〈自分たちのフィーリングで、コスパを徹底しながら、つくし、つくされ、みんなでハッピーになろう〉(p.216)とする世代のことを指します。「尽くす」よりマイルドに「つくす」という感じのようです。それと共に、「ゆとり」「さとり」というワードを久しぶりに見て、妙な懐かしさを覚えました。最近は、もう耳にしないような気がします。(そういうニュースに触れていないだけ……?)それはさておき、本書でいう「若者」とは、〈1992年に小学校に入学した人たちよりも若い世代〉という定義で話が進みます。なぜ1992年なのかというと、①教育環境の変化、②家庭環境の変化、③IT環境の変化、④経済環境の変化……という理由を挙げていました。なるほど。著者はマーケッターの立場から分析を行った結果、5つのキーワードが浮かび上がってきたそうです。世間の常識にとらわれず自分が合うものを選び取っていく「チョイスする価値観」、積極的に求めなければつながりを得にくいからこその「つながり願望」、消費しないことで満足感を高める「ケチ美学」、物・恋愛・社会に対してガツガツしない「ノット・ハングリー」、将来のために今を犠牲にしたくない「せつな主義」。以上の5つのマインドが、5年経って世間的に広く浸透しているもの(一人カラオケやカーシェアリングなど)もあったり興味深かったです。その変遷からのインスタ映えとか匂わせなどという文化も何だか頷けます。また、本筋からそれますが、大学の正門近くに停まっているレッドブルの宣伝カーを見かけては、試供品をもらいに行っていたことを思い出しました。

 それと、終章に「ボスとリーダー」論というものが紹介されていました。ハリー・ゴードン・セルフリッジという、イギリスの高級百貨店の創業者の方が、両者の違いをこう説明したそうです。

・ボスは部下を追い立てる。リーダーは人を導く。
・ボスは権威に頼る。リーダーは志と善意に頼る。
・ボスは恐怖を吹き込む。リーダーは熱意を吹き込む。
・ボスは「私」と言う。リーダーは「我々」と言う。
・ボスは「時間通りに来い」という。リーダーは時間前にやってくる。
・ボスは失敗の責任を負わせる。リーダーは黙って失敗を処理する。
・ボスはやり方を胸に秘める。リーダーはやり方を教える。
・ボスは仕事を苦役に変える。リーダーは仕事をゲームに変える。
・ボスは「やれ」と言う。リーダーは「やろう」と言う。

 最近は強い指導者も求められているような気もしますが、それでも私はリーダーを求めたいし、リーダーのような素養を身につけたい。

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