『死神の精度』

【※ネタバラシはありません】

『死神の精度』

著者:伊坂幸太郎

出版社:文藝春秋(文春文庫)

発行年:2008年2月10日

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 単行本は、2005年6月刊行。伊坂幸太郎さんといえば、ローレンス・ブロックさんが来日されて講演をした際に、こっそり参加していたことを思い出します。(当時、私も出席していました。そのとき、あまり伊坂さんの作品を読んでいなかったので、「へえ、好きなんだ」くらいの感想でした。)それから、いくつかのインタビューや『殺し屋 最後の仕事』の解説などを通して、伊坂さんは生粋のブロックさんのファンだと認識し、そのたびに改めてローレンス・ブロックさんも翻訳家の田口俊樹さんも伊坂幸太郎さんもすごい方だなあと感嘆したものです。

 本書は、死神・千葉が出会う6つの人生の話が収録されています。人間じゃないのに、人間臭い部分もあり、読めば読むほど千葉のキャラクター性に惹かれていきます。苦情処理の部署で働く女性について調査する「死神の精度」、やくざの中年男性について調査する「死神と藤田」、ミステリの定番吹雪の山荘で起こる事件「吹雪に死神」、片思い中の男性について調査する「恋愛で死神」、殺人を犯した若者と一緒に奥入瀬に向かう「旅路を死神」、美容院を営む老女に難題をお願いされる「死神対老女」。どれも好きな文体、語り口。個人的ベストは、一番ガシェット色が強い「吹雪に死神」です。ラストの「死神対老女」も好きです。色々な驚きと最後の余韻がたまりません。『死神の浮力』も買ってあるので、早いうちに読みたいと思います。

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