『若者殺しの時代』

『若者殺しの時代』

著者:堀井憲一郎

出版社:講談社 (講談社現代新書)

発行年:2006年4月20日

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 1958年生まれの堀井さんが、80年代・90年代の「若者」に関しての出来事を掘り起こしています。自身の体験談も含まれているので、ところどころ説得力があるような気がしました。後ろの方に本書で挙げていた出来事を年表にしていたので、ここに抜き出してみます。

1983年 恋愛のクリスマスが始まる/1987年 男子が恋愛のクリスマスに追いつく

 本書の帯には〈クリスマスはいつから恋人達のものになったのか? 80年代に謎あり!〉と書かれています。私は、クリスマスに限らず、街中には常にカップルはいたはずなのに、イルミネーションで覆われる寒い時期には特に冷ややかな目を向けていました。大学生の頃です。うらやましくてねたましいイベントでした。唯一の救いは、サークルのクリパ(クリスマスパーティ略してクリパ。何となくポップな響きになる。)でしたが、今にして思えば、雰囲気と飲むお酒が変わっただけで実質いつもの飲み会の延長でした。そういうやっかみの対象であったクリスマスですが、そもそも70年代はそんなに浸透していなかったらしく、堀井さんいわく転換期になったのは1983年のアンアンのようです。12月のアンアンでのクリスマス特集が、クリスマスを若者向け(恋人たち向け)の商品化を加速させたみたいですね。

1987年 TDLが聖地化しはじめる/1989年 貧乏を完全に捨てた/カルチャーとしてのマンガを捨てた/1990年 文章は機械で書くものになる

 東京ディズニーランドが開園したのは1983年。私が生まれる前の話なので、開園当初の様子は写真でしか確認できませんが、がらがらのディズニーランドなんて想像できません。ジェットコースターがスペースマウンテン一つだけという驚き。

1991年 ラブストーリーを見て女子が勝手に恋愛レートを挙げた/1991年 そのぶん男子のためにヘアヌードが安くなった/1993年 女子高生の性商品化が始まる/1997年 携帯電話で社会が覆われる/1997年 大学の「単位」が「来る」ものになり世界はバーチャルになる。

 フジテレビ、月9、トレンディドラマ……。堀井さんの「空虚で熱気がある状況」という指摘が印象的でした。また、オードリーのラジオで、昔、宮沢りえさんが出した『サンタフェ』の衝撃をお話されていたのを思い出しました。

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