見出し画像

『沸点桜』

【 ネタバラシはありません 】

『沸点桜』
著者:北原真理
出版社:光文社
発行年:2018年2月20日
----------------------------------------------------------------------------
 新宿歌舞伎町でセキュリティをするコウは、生きるためなら手段を選ばないしたたかな女。元情夫のシンプの指示で、風俗店〈天使と薔薇〉から逃亡した淫乱で狡猾な美少女ユコを連れ戻しに成城の豪邸へと向かう。そこには敵対する角筈の殺し屋たちが待っていた。窮地を躱したコウはユコを連れ、幼いころに暮らした海辺の団地に潜伏する。束の間の平穏、団地の住民たちとの交流、闇の世界から抜け出し、別人に生まれ変わった危ない女とやっかいな女の奇妙な共同生活。幼いころから虐待され、悲惨な人生を歩んできた二人に、安息の日々は続くのか――。
----------------------------------------------------------------------------
 第21回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。本書の題名は、「ボイルドフラワー」と読むそうです。
 本書の帯に〈圧倒する熱量とスピード感 ハードボイルド史上最強の女〉と銘打ってあるのを書店で見かけたとき、私立探偵小説やハードボイルド好きとしては見逃すことができませんでした。少しパラパラと斜め読みしてみると、一人称の小説だったので、思わず買いました。(一人称の私立探偵小説が好きなので。)
 読み終えたとき、「人って分からないものなんだなあ」と、しみじみ思いました。主人公のコウ然り、ユコ然り、その他の登場人物然り。ミステリ的愉しみはもちろん、人間を題材にした小説としても読みごたえがありました。また、団地での生活描写は、かつて私も団地の住人だったので、何だか懐かしさを覚えました。

----------------------------------------------------------------------------
桜がいざなう臨界点(ターニングポイント)――『沸点桜(ボイルドフラワー)』著者新刊エッセイ 北原真理 | エッセイ | Book Bang -ブックバン-


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?