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『放課後スプリング・トレイン』

【 ネタバラシはありません 】

『放課後スプリング・トレイン』

著者:吉野泉
出版社:東京創元社(創元推理文庫)
発行年:2016年2月29日

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(内容紹介)
 四月のある日、私は親友から年上の彼氏を紹介され、同席していた大学院生の飛木さんと知り合う。彼は、天神に向かう電車で出会った婦人の奇妙な行動や、高校の文化祭でのシンデレラのドレス消失騒動など、私の周りで起こる事件をさらりと解き明かしてみせる不思議な人だった。「飛木さん、どうしたら謎が解けるようになりますか?」福岡を舞台に贈る、透明感溢れる青春ミステリ。
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 舞台は福岡です。そこまでご当地に関する描写はなかったですが、また福岡県に行きたくなりました。
〇「放課後スプリングトレイン」
 化学の実験のシーンを読んで、すごい懐かしいなあと思いました。そして、電車で出会った婦人の奇妙な行動に、ひとつの解を提示する飛木さんは聡明な方だなと感心しました。
〇「学際ブロードウェイ」
 文化祭当日、シンデレラのドレスが消失してしまう。その謎がわかったとき、著者の舞台設定の妙味に思わず敬服しました。
〇「折る紙募る紙」
 街頭での募金活動中、同級生が不審な行動をしていて……という謎です。これまた考えさせられる内容でした。
〇「カンタロープ」
 植物の観察日記で嘘をつく小学生、その真意は? というメインの謎に加えて、挫折についての一考察や、とある詩についての解釈など見どころが多かったです。東京創元社のお家芸もきらりと光りました。私はこういう趣向、好きです。

 続編『手のひらアストラル』があるそうなので、それも読んでみようと思いました。

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