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『その孤島の名は、虚』

【 ネタバラシはありません 】

『その孤島の名は、虚』

著者:古野まほろ
出版社:角川書店
発行年:2014年9月30日


公立女子高バンドの雄、吉祥寺南高校・吹奏楽部。その部員20人以上が、この世界から音楽室ごと蒸発した。瓦礫から脱出した彼女らが見いだしたのは、その島に息づく”存在”と”法則”――しのびよる生きた影。螢のように輝く住人。さまよう度に変貌する自然や廃墟。島は女子高生を惑わし、誘拐し、殺してゆく。生き残りたい。島の謎を知りたい。復讐したい。彼女らは楽器を捨て、殺し合いの武器をとるが!?
武器を捨てよ、楽器をとれ、”惑わしの島”を出るために。


 読み終えた後、「よくこんなの思いつくなあ」と「それを小説として完成させるのすごいぞ」と、感嘆のため息が出ました。もしかしたら、普通?の女子高生たちがいきなり訳の分からない島に飛ばされてサバイブできるの? というツッコミがあるかもしれませんが、それは野暮でしかないと個人的には思います。(ちなみに私ならパニックを起こして早い段階で死んでそうですが。)そして、本書最大の謎である、島の秘密が明かされるとき、ただひたすら「すごい……」とうなり続けました。いわゆる特殊設定ものではありますが、根幹はガチガチの本格ミステリでした。著者の矜持を垣間見たような気がします。

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