『一〇年代文化論』

『一〇年代文化論』

著者:さやわか

出版社:星海社(星海社新書)

発行年:2014年4月24日

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 本書の発売が2014年なので、2010年代について総括するのはまだ早いような……と思いながら読み出すと、さっそく著者の持論が出てきます。〈十年単位の時代史をつぶさに見れば各年代の後半には次の年代を象徴するものが現れている。〉(p.9)そんなこんなで、著者は「2000年代後半をつぶさに眺めながら、2010年代の文化のコアを探り出したい」という思いのもと、序盤で結論を提示しています。「2010年代の若者文化」とは、「〈残念〉という思想」に基づいた文化、とのことです。残念? 一体どういうことだ? と思いつつ読み進めていくと、確かに納得できるような事柄が挙がっていて、すごい興味深かったです。ネギを持っている初音ミクや『僕は友達が少ない』など、懐かしいもの・ことが出てきて、ノスタルジーな気持ちになってきました。また、「残念」という言葉の意味が変わっていくさまを読んで、「ポンコツ」も同じような変移になっているような気がするなあと、ふと思いました。

■「残念」の時代の感性……短所と長所を両方とも否定せずに受け入れる態度をもっている。/どんな個性も許す自由さ、おおらかさを持っている。/従来的な学校教育などからはドロップアウトしてしまうような種類の個性。/「キャラ」として受け入れれば深刻になることはない。/単純に「オタク」的なものではない。

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