『壇蜜日記2』

『壇蜜日記2』

著者:壇蜜

出版社:文藝春秋(文春文庫)

発行年:2015年9月10日

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 2021/11/3 晴れ

 祝日なのになんで自分は働いているのかと思いながらの帰り道。でも、よくよく考えてみると、世の中には休日に働く職業がたくさんあることに気づく。私がモヤモヤしていたのは、「祝日なのに働いている」のではなくて、「最近週に一回しか休めていない」という事実に対してだ。このご時世、働ける喜びを噛みしめてはいるが、それでも少しは休息したいというのは甘えなのか。……考えるのはよそう。ということで最近物騒な電車のいつもの車両のイスに座り、本書を取り出す。7年前にタイムスリップし、当時34歳の壇蜜さんの思考の一部をたどることにする。「2014 夏 水を飲む暇も惜しいほど熱中して抱き合った者がいた。」から。〈夕べが遅かったという理由は今日を怠惰に過ごすための最上の免罪符になる〉(p.14)という言い回し、なんか好きだなあと思う。

2021/11/5 晴れ

 朝、家を出て駅の改札を通り、自動販売機でコーヒーを買おうとしたら、PASMOがないことに気づく。改札もPASMOを使ったはず。だから、改札から自動販売機までの動線を何回か往復してPASMOが落ちていないか捜索した。しかし見当たらなかった。通勤途中なので、モヤモヤしたまま会社に行くことにする。……で、結局のところ、PASMOは自分の家のイスの下に落ちていた。じゃあなんで改札を通れたのか? おそらく私の後ろの人のSuica(もしくはPASMO?)の力で通れたに違いない。そう思いながらも、「2014 秋 手垢だらけの悪口には新鮮な柿がよく似合う。」を読み出した。壇蜜さんが海外へ。いいなあ。あと、〈タダは怖くないよと謳うことの恐ろしさを感じられるだけ猜疑心の強い大人になれて良かったと思う。〉(p.57)というお言葉に、多かれ少なかれその通りだな! と思った。

2021/11/8 晴れ

 休み明けは、なかなか体が動かない。午前中はうまく立ち回れていたが、午後は徐々にガス欠になっていく。月曜日はそんなものだと割り切る。帰りの電車の中で、「2014-2015 冬 チョコレートの受け取りよりもジムを優先される。」を読む。壇蜜さんが自宅でセルフィンプレコを飼い始めるところを読んで、「セルフィンプレコ」って何ぞと思い、Wikipediaで調べてみた。

 なんかちょっとかわいいじゃないか。


2021/11/9 雨

 職場にビニル傘を忘れたので、折り畳み傘を使って外を移動する。私は自分のビニル傘だと分かるように、いつからか傘の手元に輪ゴムをつけるようになった。マスキングテープやカバーで差別化を図らないところが、自分のガサツさを証明している。これを書いている途中、「ビニール」と「ビニル」、どちらが正しいのか分からなくなり、これまたネットで調べた。便利な時代であるという言い回しは、もう言い飽きたかもしれない。移動中に、「2015 春 どうなんだ、男よ。野良犬になったことは、あるかい。」を読む。壇蜜さんはお仕事でベルギーに行ったり、お引越しをしたり……。〈叩く人はどこまでも叩く。攻撃する手を緩めないものはずっと緩めない。それが人間とその他の動物との違いだという。〉(p.161)という箇所を読んで、「確かにそうだなあ」と納得し、そういう人たちやそういう一面も持っているであろう自分に対して嫌になってくる。想像以上にきついんだろうなと想像力を働かせる。

2021/11/11 晴れ

 急な休みでも、嬉しい。本が読めたり映画がみれたりできるからだ。ただ、昨日自分がした作業でミスがあったので、職場の方がそのフォローに回っている。内心気が気ではないが、いまこの家にいる状況では何もできなので、むりやり開き直るしかない。ただ、あまり読書が捗らない。かと言って早い時間からお酒に逃げるのもナンセンス。運動しかないと思い、外に出ることにした。なんやかんやで、時間をやり過ごせそうなので、「2015 夏 七夕だったか、特に何かを願うことなく終わった。」を読む。〈この世には紙切れ一枚で損をしたり、身を守られることが多すぎる。身を守られることも時々は実感するが、ほとんどは損をしているような気もする。〉(p.213)タクシーの領収書がそれだなと思う。忘れ物をしたとき、それがないと電話できない。タクシーに携帯電話を忘れた苦い記憶があるので、タクシーに限らず領収書関係はすべて頂くようにしている。転ばぬ先の何とやらだ。

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